2025年11月28日掲載

BOOK REVIEW - 『図解入門ビジネス 職場メンタルヘルスの基本と対応がよくわかる本』

角田拓実 著
産業医・労働衛生コンサルタント 
A5判/192ページ/1700円+税/秀和システム新社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 厚生労働省の「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は68.3%だった。2025年5月に成立した改正労働安全衛生法において、全事業場でストレスチェックの実施が義務化したことからも分かるとおり、メンタルヘルス不調は労働者にとって身近な脅威だといえる。その中でも、特に職場において重要なのは「仕事と病気をどう両立させるか」という視点である。本書では、産業医として多くのケースに関わる著者が、人事担当者や管理職が知っておきたいメンタルヘルスに関する知識を図解で分かりやすくまとめている。

■ 第1~3章はメンタルヘルス不調についての解説から始まり、職場で見られることの多い疾患や四つのケアと三つの予防策といった基礎的な内容を取り上げる。第4章では精神科医や産業カウンセラーなどの専門職の役割や連携のポイントを、第5章では同僚や上司として取るべき行動を教示。第6~7章では休職から復職までの流れやストレスチェック制度に関して、実務に生かせる具体的なポイントを解説する。第8章では13のケーススタディーを詳説し、いざというときの判断力や対応力を養うことができる。巻末資料では「こころの情報サイト」「中央労働災害防止協会」などの案内を掲載し、しかるべきサイトや相談窓口へのアクセスをサポートしている。

■ メンタルヘルス対策を進める上で最も避けるべきことは、「望ましくない対応をしてしまう」ことだと著者は主張する。基本的な知識を身に付けることで、深刻な混乱を避け、不調者の体調悪化やトラブルを防ぐことができる。メンタルヘルス不調は誰もが経験し得るものであり、上司や人事担当者は日頃から対策を練る必要がある。本書が職場のメンタルヘルス対応を見直すきっかけとなるだろう。

図解入門ビジネス 職場メンタルヘルスの基本と対応がよくわかる本

内容紹介

現代の職場では、誰もがストレスや心の不調を抱える可能性があります。
しかし、いざ部下や同僚がメンタル不調になったとき、「どう接すればいいのか」「どこまで会社が関わるべきか」と戸惑う管理職・人事担当者は少なくありません。

本書は、産業医として数多くの現場を支援してきた著者が、実際の経験と医師としての知見をもとにまとめた “職場のメンタルヘルス実践書” です。
うつ病や適応障害など代表的な心の病の基礎知識から、4つのケアと3つの予防の考え方、産業医や専門職との連携、部下の不調への初期対応、休職から復職までの支援の流れ、そしてストレスチェック制度の活用法までを、豊富な図解とケーススタディでわかりやすく解説しています。

「望ましくない対応」を防ぎ、職場全体で心の健康を守るために――。
企業の人事・労務担当者、管理職、そしてメンタルヘルスに関わるすべての人に読んでほしい一冊です。
この本を通じて、誰もが安心して働ける職場づくりの第一歩を踏み出しましょう。