2025年10月24日掲載

BOOK REVIEW - 『介護離職させない! 仕事と介護の両立サポートブック』

梅沢佳裕 著、坂上和芳 監修
社会福祉士・介護支援専門員、社会保険労務士 
A5判/228ページ/1800円+税/秀和システム新社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 2024年5月に改正された育児・介護休業法の施行を機に、仕事と介護の両立支援を強化した、あるいは、これからさらに取り組みを進める企業は多いだろう。本書は、病院や介護施設等を顧問先に持つ社会保険労務士による監修の下、介護職員などの実務者向けの研修等を行う社会福祉士・介護支援専門員の著者が、一般企業の人事労務担当者に向けて、仕事と介護の両立支援に取り組むための実務におけるポイントをまとめたものである。

■ 第1章は人事労務担当者に求められる姿勢や介護保険サービスの基礎知識などに触れ、第2章では従業員の実態把握などの具体的な施策について述べる。介護に直面した従業員への支援の流れを見る第3章は、「相談・調整期」「両立体制構築期」「両立期」の3段階に整理して対応の要点を示し、第4章は “脳梗塞で倒れ認知症が悪化した親の在宅介護” など、五つの事例を取り上げ解説する。本書の終盤となる第5~6章は、介護休業法と介護保険制度の概要を紹介している。

■ 巻末資料には、「仕事と介護の両立支援」「介護に直面した従業員への支援」「介護休業法と改正」「介護保険制度」の分野別に “現場でよくある質問” を掲載しているため、人事労務担当者が従業員への対応を行う際の大きなヒントとなるだろう。「サポートブック」のタイトルどおり、法令、実務対応のポイント、ケーススタディーなどの情報が網羅されている。本書を参考に、自社における仕事と介護の両立支援を推進していただきたい。

『介護離職させない! 仕事と介護の両立サポートブック』

内容紹介
仕事と介護が両立できる職場づくりはどうすればいい?
人事労務担当者の疑問に答えます!

せっかく育ててきた豊富な経験を持つ従業員が介護を理由に急に退職してしまった! 人事労務の担当者であれば避けたい事態です。しかし、介護はある日突然始まるため、情報不足や相談しづらい職場環境で、従業員の離職や戦力低下を招く恐れがあります。

このような事態を防ぐには、制度整備と職場環境の両輪が欠かせません。
本書では、まず介護休業や介護休暇、短時間勤務などの法定制度を基盤に据え、申請手順の明確化、不利益取り扱いの禁止、相談窓口の設置・一本化など、きちんと機能する制度にするための運用改善に踏み込んで解説します。

もちろん実際の現場ではすべてが理想通りにはいかないもの。しかしながら本書が解説する内容は現場が将来的に目指すべき方向性としてご理解いただき、可能な部分から取り入れて試行導入するだけでも離職防止につながります。

単なる制度案内役ではない、従業員が安心して働き続けるための「伴走者」としての人事担当者の皆様の一助となる一冊です。