労務行政研究所が毎年実施している「モデル賃金・賞与実態調査」では、実施年によってテーマを変えて付帯調査を実施し、「特別集計」として掲載している。本連載では、2017年以降に実施した特別集計について、6回にわたり紹介する。
第2回となる今回は、2019年に実施した「人事評価の査定頻度」および「人事評価を反映する処遇」について集計結果を取り上げる。
※特別集計については、労務行政から毎年発行している『モデル賃金・年収と昇給・賞与』(こちら)で掲載しています
※第2回(2019年調査)の調査要領は、こちらをご覧ください
人事評価の種類別に見た査定頻度[図表1]
管理職・非管理職とも、業績評価は「1年に2回」、能力評価・総合評価は「1年に1回」が最多
ここでは人事評価を以下の三つに区分・定義し、各評価をどのくらいの頻度で実施しているかについて尋ねた。
・業績評価:目標管理などで定めた目標に対する達成状況や、目標管理以外でフォローしている業務の量・質・効率などの達成状況を主な評価要素として決定する評価
・能力評価:目標達成状況以外の項目(職務遂行能力、行動プロセス、情意、コンピテンシー、ポテンシャルなど)を主な評価要素として決定する評価
・総合評価:業績評価・能力評価の評価要素を組み合わせ(または明確に要素の区分をせず)、総合的に査定する評価
業績評価は「③1年に2回」(管理職51.5%、非管理職57.5%)、能力評価と総合評価は「②1年に1回」(能力評価で同53.2%、52.4%、総合評価で同52.0%、49.0%)がそれぞれ最も多い。次に多いのは、業績評価が「②1年に1回」(管理職37.6%、非管理職32.0%)、能力評価と総合評価が「③1年に2回」(能力評価で同30.6%、34.1%、総合評価で同28.9%、33.3%)であり、「②1年に1回」と「③1年に2回」で大多数を占めている。
[図表1]人事評価の種類別に見た査定頻度

[注]1.「総合評価」には、「業績評価」「能力評価」単体とは別に業績評価と能力評価の要素を組み合わせたケースと、明確に「業績評価」「能力評価」の区分ができないため、総合評価のみに回答したケースが混在している。そのため、「総合評価」の集計社数が「業績評価」「能力評価」よりも多い点に留意いただきたい([図表4]も同じ)
2.「⑤その他の頻度」は、“昇格時” “部署により異なる” など
同一企業における業績評価と能力評価の実施関係[図表2~3]
管理職は “業績評価・能力評価ともに「1年に1回」” 、非管理職は “同「1年に2回」” の組み合わせが最多
次に、[図表1]において、業績評価と能力評価の両方に回答のあった企業につき、各社における両評価の実施関係(組み合わせ)を集計した。管理職は “業績評価・能力評価ともに「②1年に1回」” の頻度で実施する割合が35.0%で最も多い[図表2]。一方、非管理職は “業績評価・能力評価ともに「③1年に2回」” 実施するところが32.1%と最も多く[図表3]、管理職と非管理職で差が見られた。
また、[図表1]で割合が最も高かった回答は、管理職・非管理職ともに業績評価は「③1年に2回」、能力評価は「②1年に1回」であったが、[図表2~3]のように業績評価と能力評価をクロスさせて見ると、傾向が異なることが分かる。
[図表2]業績評価と能力評価の実施関係——管理職(集計社数:220社)

[注]1.[図表1]において、業績評価と能力評価の両方に回答のあった企業につき、各社における両評価の実施関係を見たもの([図表3]も同じ)
2.「業績評価の頻度」の①〜⑥は、「能力評価の頻度」の項目番号に対応する([図表3]も同じ)
[図表3]業績評価と能力評価の実施関係——非管理職(集計社数:224社)

人事評価を反映する処遇[図表4]
管理職・非管理職とも、業績評価は「夏季賞与」、能力評価・総合評価は「昇給・降給」に反映する割合が最も高い
管理職・非管理職とも人事評価の反映先に大きな傾向の差はなく(複数回答)、業績評価は「夏季賞与」(管理職82.7%、非管理職85.5%)、能力評価・総合評価は「昇給・降給」(能力評価:同81.9%、84.4%、総合評価:同91.1%、89.5%)に反映する割合が最も高い。なお、業績評価については、管理職・非管理職ともに、「夏季賞与」(同82.7%、85.5%)の割合が「年末賞与」(同77.6%、80.8%)を約5ポイント上回っている。
[図表4]人事評価を反映する処遇(複数回答)

[注]1.❶~❸は上位1~3位を示す
2.「その他の処遇」は “異動・配置の検討” “優秀者の表彰” など
「2019年度モデル賃金・賞与実態調査」の調査要領
1.調査対象
全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3650社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上。一部「資本金5億円以上または従業員500人以上」を含む)1675社の合計5325社。
2.調査時期
2019年7月1日~10月3日
3.集計対象
1.の調査対象のうち、回答のあった301社。業種別、規模別の内訳は[参考表]のとおり。所属業種については、調査時点におけるものとした。なお、項目により集計(回答)企業は異なる(項目により回答していない企業があるため)。
[参考表]業種別、規模別集計対象会社の内訳

[注]「商業」は卸売業、小売業。「情報・通信」には、IT関係のほか新聞、出版、放送を含む。なお、上記の業種分類は東洋経済新報社『会社四季報』をベースとしている
4.算出方法
集計結果はすべて会社ごとの数値を単純平均して算出した。従業員数による加重平均は用いていない。
5.集計結果利用上の留意事項
①調査項目の一部のみ回答してあるものについても集計に含めたため、項目によって集計(回答)企業は異なっている。そのため項目間に連続性を欠き断層が見られる場合もあるので、利用に際しては数字の解釈に多少の幅を持たせるなど留意いただきたい。
②[図表]の割合は、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで表示しているため、合計が100.0にならない場合がある。また、割合の差異を示す際は、四捨五入後の数値を基に算出した結果を示している。
③本文中で割合を引用する際には、実数に戻り割合を算出し直しているため、[図表]中の数値の足し上げと本文中の数値とは一致しないことがある。
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