2025年10月10日掲載

BOOK REVIEW - 『矛盾が成果に変わる組織をつくる——実践型リーダーシップのすすめ』

宮下篤志 著
フェリックス・パートナーズ株式会社 代表取締役 
A5判/168ページ/2400円+税/中央経済社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ ビジネスの現場には「矛盾」が数多く存在する。例えば、“生産性や品質を高めるために指示を守らせることは必要だが、指示の厳守に厳格過ぎると、メンバーはやがて指示待ち人間となり、自律性を失っていく” といったことだ。本書は、実際に企業の現場の中で経営支援を行っている筆者が、ビジネスでよくある矛盾を理解し、成長の機会につなげるためのリーダーシップの実践方法を解説していくものである。

■ 前半部分では、「矛盾」の構造・種類の理解と適応ポイント、リーダーのマインドセットに触れ、メンバーとのコミュニケーションの一つとして「哲学対話(日常の疑問・課題を問いとして、皆で考える場)」の採用を提案する。後半部分では、戦略に対してリーダーが持つべき視点を考え、“矛盾が成果に変わる組織” をつくり上げるリーダーシップ実践のプロセスについて五つの方向を示すとともに、リーダーが学ぶことの重要性や学び方のポイントを説く。

■ 本書では、“リーダー自身も矛盾と迷いの渦中にいるのに、そこからどのように組織の成長軌道を描き、組織を率いていけばよいか” との問いに答えるべく、経営学や行動経済学、心理学などのさまざまな理論を織り交ぜ、リーダーシップの実践を説明している。昨今、リーダーになりたくない人が増えているが、本書を読めば、リーダーシップへの嫌悪感を払拭して視野を広げることが「成長の機会」につながると分かるだろう。

矛盾が成果に変わる組織をつくる——実践型リーダーシップのすすめ

内容紹介
ビジネスリーダーは多くの対立する事柄=矛盾の中で日々選択を迫られ迷い悩んでいる。
本書ではあえて二者択一の選択をせず矛盾を受け入れ組織を成長させる実践方法を示す。

「リーダーになることに、なぜこんなにも “重さ” を感じるのか?」

本書は、複雑で不確実な時代において、誰もが直面する「矛盾」と「迷い」に立ち向かう新しいリーダーシップ論を提示します。
正解が存在しないビジネスの現場で、従来の二者択一の思考ではなく、矛盾そのものを活かしてスパイラル状に組織を成長させる——。
リーダーとしての不安、組織への向き合い方、チームの成長のために、何をどう考え、どう動くべきか。
現場で格闘するリーダーたちに向けた、実践したくなる “行動の書” 。
一歩を踏み出したくなる、そんな視点を提示します。

本書におけるリーダーシップの7つの視点
①リーダーシップとは、こうあるべきだといったスタイルではなく、実践である
②複雑性を解明し、それをあえて利用することによって、組織やチームは成長する
③複雑性を解明すると、背後に矛盾の存在が隠れていることに気づく
④矛盾に向き合い受け入れることから、リーダーシップの実践は始まる
⑤リーダーシップは手法ではなく、思考、実践、振返りの中にある
⑥複雑性を乗り越える思考と実践の方法を身につけることによって、リーダーシップのハードルは下がる
⑦リーダーシップには、ビジネスリーダーならではの学習法があり、学び方次第でさらに成長できる