2025年09月12日掲載

BOOK REVIEW - 『評価者研修実践マニュアル』

東郷静峰、安田 厚、河合克彦 著
東郷社会保険労務士事務所 代表、人事労務マネジメントオフィス 代表、
株式会社河合コンサルティング 代表取締役 

A5判/223ページ/3000円+税/日本生産性本部生産性労働情報センター 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 評価にバラつきがあるなど、「評価の質」に起因する問題は少なくない。この解決の糸口として、本書は、「ケースを使った評価者研修」を提案する。この研修は、①一つの課題(=ケース内の特定の人物に関する評価)に個人で取り組む、②同一課題にグループで取り組む、③グループで出した結論を発表する、④同一課題における会社の結論に耳を傾けるという4ステップから成り、各章で研修の運営方法を中心に解説していく。

■ 本書は、第1~4章および巻末資料から成る本冊と、研修参加者への配付資料をまとめた別冊で構成されている。第1章で研修の目的(評価の質の向上)、内容(上記4ステップ)、効果(気づきを得る、行動が変化する、質の高い評価をする)を説明し、第2章で研修運営者が研修前に必要となる準備について詳細に示している。本書の大部分を占める第3章は、研修当日にスポットを当て、研修開始から終了後までの手順を丁寧に解説。第4章は、研修後にスポットを当て、研修の効果をさらに高める施策や、研修の効果を評価する方法を紹介する。巻末資料では、本書で扱うケースの「模範解答」にかかる人事制度や評価制度の概要などを掲載している。

■ 別冊は、研修で扱うケースの詳細な設定や、個人・グループで用いる作業シートなどをまとめており、一部資料をダウンロードできる。本書のケースは食品メーカーを想定しているが、具体的内容を基に自社のケースへカスタマイズも可能だろう。本書は、評価者研修の運営・実施について一から準備が必要となる担当者の心強い味方になり得る一冊だ。

評価者研修実践マニュアル

内容紹介

『評価者研修実践マニュアル』は、評価に関する悩みを抱える企業や人事担当者の皆様に最適な一冊です。「ケースを使った評価者研修」の知識と技術をシンプルにまとめ、業種・規模を問わず自社ですぐに活用でき、対面研修とオンライン研修のどちらにも対応した内容で構成されています。また、図表を豊富に用い、説明にあたって多くの具体例を盛り込んでいるほか、研修参加者への配布資料を別冊(ダウンロード可能)としてまとめている(本冊と別冊を併せて活用できる)など、理解がより一層深まる工夫がなされています。

<編集長より>
本書は、参加者が(1)自社の評価制度に関する「気づき」、(2)部下の行動や結果に関する「気づき」、(3)自身の評価の質的な側面に関する「気づき」、の3つの「気づき」を得られる評価者研修の実践的なマニュアルです。本書を活用することで、評価者の認識と行動に変化をもたらし、評価の質を向上させ、ひいては評価に関する様々な問題の解決につながります。