森本産業医事務所 代表、本山社会保険労務士事務所 代表/
株式会社アダプテーション原産業医事務所 代表、株式会社Keep Health 代表
A5判/276ページ/3200円+税/中央経済社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 誰もが働きやすい職場環境を整えることは、従業員の就業継続につながり、ひいては会社組織全体の活性化や生産性向上にも影響する。本書では、従業員が病気の治療と仕事を両立するために、会社側ができる支援策や個別対応について、経験豊富な産業医と社会保険労務士(以下、社労士)が解説する。
■ 第1章では治療と仕事の両立支援の概要を述べ、第2章で関連するガイドラインと様式例を取り上げる。第3章では、がんや消化器系疾患など、実際に支援が必要になることの多い病気の概要を紹介し、テレワークや残業制限など就業配慮として求められる対応を列挙する。第4章では、体調を崩した従業員に対する個別対応について、休業から復職に至るまでの流れや留意点など、ガイドライン・法令等と照らし合わせながら詳述。第5~6章では、制度設計に係る法令や社会保障制度のほか、他の従業員への配慮や就業規則へ反映する際の注意点など、運用を見据えた解説がされている。第7章は38ケースの相談事例を挙げ、社労士や産業医の立場からコメントを示し、第8章では「がん相談支援センター」「治療と仕事の両立支援ナビ」など、相談機関やツールの特徴を紹介する。
■ 本書は、法的な観点や制度の解説を盛り込みつつ、企業規模や業種を問わずに応用可能な実務対応のポイントを提示している。単なる制度設計の解説書ではなく、従業員とのコミュニケーションの在り方を例示するなど、まさに実際の対応を想定した「実践マニュアル」といえる。また、病気の具体的な症状や就業配慮の解説では平易な表現を用いており、医学の知識がなくとも理解しやすい。人事労務担当者はもちろん、産業保健に関わる者、企業の労働法に関わる弁護士や社労士などを想定読者としているため、さまざまな観点から従業員への支援を検討することができるだろう。
内容紹介 産業医と社労士が執筆した、両立支援を進めるためのガイド。支援が必要になる主な病気・就業配慮内容、社会保障、連携機関にも言及。悩ましい個別対応を38のケースで解説。 〔目次〕 |