2025年08月22日掲載

BOOK REVIEW - 『「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる 上司も部下も幸せになるマネジメントの極意』

前川孝雄 著
株式会社FeelWorks 代表取締役、株式会社働きがい創造研究所 会長 
四六判/232ページ/1600円+税/合同フォレスト株式会社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ すっかり世間に浸透した「働き方改革」だが、筆者はその副作用により現場での働きがいが阻害されていると指摘し、「働きやすさ」よりも「働きがい」の実現のほうが大切であると主張する。本書では、「働きがい改革」の推進を通して部下一人ひとりとともに上司自身も幸せになることをテーマとし、管理職である上司のマネジメントの極意を伝える。

■ 本書は全6章構成。第1章で筆者は、「働きがい」のために「働きやすさ」が配慮されている「ワークハッピー企業」を目指すべきと提唱する。その実現には、上司は部下の意欲や可能性が強みとなり開花するよう、管理ではなく支援する自覚を持つことが重要と説く。同時に、部下と大きな仕事をし、部下を育てることが上司自身の成長になり、上司の働きがいを取り戻すことにもつながると力説する。第2章では部下の働きがいを高めてキャリア形成するための視点、第3章では若手育成を促進するための働きがいのもたらし方、第4章では働きがいがあふれるチームづくりのポイントを解説する。第5章ではミドル・シニア層における仕事の価値の見直しや評価方法、キャリア自律研修などについて説明し、ミドル・シニア社員が働きがいを持って活躍できる職場づくりが、若手や中堅社員にとっても将来の希望につながると強調する。第6章では「働きがい改革」の原動力となる上司自身の働きがいについて論じる。

■ 「働き方改革」と同様に、「管理職になりたがらない」問題も一般化した感があるが、本書を読むと、「働きがい」の実現がその解決のための契機となり得ることがよく分かる。また、いずれの章も人事に関する課題や労働市場のトレンドに言及し、事例や現場の悩み、筆者の知見などを踏まえた改善提案を盛り込んでいるため、人事担当者は実務視点で多くの学びや気づきを得られるだろう。

「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる 上司も部下も幸せになるマネジメントの極意

内容紹介
“上司の醍醐味” は、一度知ったらクセになる

醍醐味1: 一人ではできない大きな仕事を実現
醍醐味2: 部下が一皮むける瞬間に関わる喜び
醍醐味3: リーダーとして成長する実感

「残業が少ない」「給料が高い」「有休が取りやすい」
だけの “働き方改革” から
 ↓
「持ち味を見出す」「仕事を任せる」「努力を認める」
一歩先の “働きがい改革” へ

管理職を “罰ゲーム” から “誇れる仕事” に!
会社が変わるのを待っていても目先の状況は変わりません。
まずは上司自身ができる範囲で動き始めましょう。
「働きがい改革」は現場の第一線で活躍する上司から始まるのです。
さあ、上司の本領と働きがいを取り戻しましょう。