2025年08月22日掲載

BOOK REVIEW - 『採用基準のつくり方』

鈴木洋平 著
株式会社採用と育成研究社 代表取締役社長 
四六判/192ページ/1750円+税/クロスメディア・パブリッシング 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 選考で応募者をきちんと評価できているか不安、面接官同士で評価のブレがある、面接で高評価だった新入社員に対するクレームが配属先から入るといった経験はないだろうか。本書は、長年にわたり企業の新卒採用の現場で選考設計を手掛ける筆者が、採用担当者や面接担当者などが持つ疑問や不安を解消すべく執筆したものである。取り組まなくても採用自体はできるが、人材の質が少しずつむしばまれていく可能性がある「選考における評価の質の向上」をテーマに、豊富なノウハウを紹介している。

■ 第1章は、入社後のパフォーマンスの予見に関わる二つの観点(①何の能力を評価するか、②正しく評価できているか)を述べた上で、面接での評価における「誤認の落とし穴」を三つ提示する。第2章は、上記①の観点に関わる採用基準の決定方法について、求める人材像、評価要素、評価基準、採用基準の4ステップによる定義の仕方を詳説する。第3~4章は、上記②の処方箋として、行動観察手法(個人や集団の行動を直接観察してパターンや特性を分析する方法)の紹介とその応用、構造化面接(応募者全員に同じ質問や順序等で行う面接)などを解説する。

■ 第5章は、選考を受ける動機づけと内定受諾の動機づけについて説明した後、自社を選んでもらうための「()きつけ施策」のポイントを示す。第6章は、採用時の評価結果が育成のスタートラインであると明示し、選考における応募者の能力の測定を合否のみならず入社後の成長や活躍に生かすことを提案する。本書は、理論に基づいた採用面接のヒントがふんだんに盛り込まれている。「自社で成果を出せる人材」を採用するための採用基準の作成や、これまで運用してきた採用基準の見直し時に活用いただきたい一冊である。

採用基準のつくり方

内容紹介
面接で高評価だった期待の新人が入社後、活躍できないのはなぜ?
選考設計のプロが実践する! 「自社で成果を出せる人材」を見抜く方法

「この人なら間違いない」
面接でそう確信したはずの応募者が入社後、期待通りに活躍してくれない。
このような経験に心当たりはありませんか。

期待して採用した人材が入社後にパフォーマンスを発揮できない要因は多岐に渡ります。
真の要因を特定することは難しく、振り返りが行われないため、同じことが繰り返し起こります。

そこで本書では、要因のひとつである「選考での評価が誤っていたかもしれない」という点にフォーカスして、応募者の真の能力を見極め、入社後のパフォーマンスを予見するための採用基準のつくり方と評価手法を解説します。

人材採用に課題を抱える大手企業の人事・採用担当者、中小企業の経営者、面接官を担当する管理職・マネジャーなどにおすすめの一冊です。