弁護士法人せいわ法律事務所 弁護士
四六判/256ページ/1800円+税/翔泳社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 解雇規制が厳しい日本の労働環境において、社員を解雇することはたやすいことではない。しかし、組織内に不和を生じさせるにとどまらず、企業の利益や機会の損失をも招きかねない問題社員の解雇は、人材戦略のみならず企業戦略の観点からも対応を検討しなければならない事案である。本書は、「円満退職請負人」とも呼ばれる弁護士の著者が、実際の現場で問題社員と円満退職の合意を得るまでの方法を体系立ててまとめたものである。
■ 本書は序章と、第1~5章の構成。序章では問題社員のタイプ別の特徴と、周りに与える影響について述べ、問題社員を放置することが会社、当該社員双方にとってマイナスであると強調する。第1章は、解雇に関する法的な知識とリスクを解説。これらの章を読めば、「円満退職」の必要性と重要性を再認識させられるだろう。第2章では「クビ切り」の覚悟を決めるためのマインドセットを紹介する。当該解雇の要・不要、解雇回避の可否、職場環境の再考など、覚悟を決めるまでに考慮すべき観点を複数挙げている。第3章では円満退職に向けて、「証拠を集めて事実関係を明らかにする」「Xデー(=退職交渉の日)を決める」「交渉当日に必要な書類をあらかじめ準備しておく」という3ステップを示し、各ステップの具体策や実践例を紹介する。第4章では、Xデー当日の交渉方法と交渉に適した環境づくりを詳説。交渉時の効果的な話し方や交渉失敗時の対応などについて多種多様なケースを紹介しており、退職交渉に臨む人事担当者にとって必読の章となろう。第5章では、問題社員の退職を新たな組織文化の構築へと活かすための方策や視点、心構えを解説する。
■ 本書は、退職に係る実務的な知識に加え、弁護士が退職交渉の場で使うトーク術など、実例を踏まえた退職交渉の要点を多数紹介している。タイトルどおり、まさに円満退職のための実務書といえよう。
「円満退職請負人」が教える! 全員が幸せになる「トラブルなし」で問題社員に1ヶ月で辞めてもらう方法 内容紹介 法的リスク、精神的ストレス、トラブルなしで辞めてもらう極意、「辞めさせたいけど、言えない……」その悩みを解決するプロのノウハウをすべてお見せします! みなさんの職場にこんな「困った人」はいませんか?
こうした、いわゆる「問題社員」がいかにまわりの社員に好ましくない影響を与え、会社に損失をもたらしているか、みなさんも十分に感じていると思います。 |