BOOK REVIEW - 『採用・育成・定着から戦力化まで　実践！　うまくいく外国人雇用』

■ 2024年末時点の在留外国人数は約376万人に上り、約212万人だった2014年から10年間で160万人以上増加している。人手不足を嘆く日本の労働市場において、外国人材の活躍をいかに実現するかは、多くの企業が抱える問題といえるだろう。本書は、YouTube等で本テーマに関する配信を精力的に行っている著者が、外国人雇用の基礎知識、採用から定着、戦力化に至るまでのポイントを網羅した指南書である。

■ 第1～2章では、日本が外国人を労働者として受け入れてきた背景から、外国人雇用のメリット・デメリット、ビザ（在留資格）の種類などを分かりやすく解説。第3～4章は、採用をテーマにベトナムや中国、フィリピンなどの受け入れ国の特徴を押さえつつ、失敗しない採用ノウハウとして、面接でのヒアリング時の留意点や雇用条件の整備など、多岐にわたる視点でポイントをまとめている。教育・定着・戦力化をテーマとした第5～7章では、外国人とのコミュニケーション上のコツや、在留資格の種類（技能実習生、特定技能者等）ごとの定着方法、外国人に活躍してもらうための適切な昇給・昇格の仕組みなどを取り上げる。第8～9章は、外国人雇用におけるトラブル対応や、外国人ビジネスの今後について言及している。

■ 本書の特徴の一つが、各章のテーマに即して冒頭に置かれた「EPISODE」だ。例えばビザの種類をまとめた第2章のEPISODEでは、ビザの更新期限が迫っている外国人労働者に更新手続きを依頼したところ、入国管理局で不許可を言い渡されたという事例が紹介されており、実務上の “落とし穴” を意識しながら、本編の解説を読み進むことができる。また、各解説では「CASE」として、外国人を入れることで、無気力日本人社員が変わったなど、外国人雇用に関する成功事例や失敗事例が随所に織り交ぜられている点も、実務の参考となるだろう。