法政大学キャリアデザイン学部教授、
ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 人事総務本部 採用・人材開発統括部 人材開発部 部長
四六判/228ページ/2400円+税/千倉書房
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 管理職の業務・心理的負荷に対する関心が高まっている。その背景には「若手が管理職になりたがらない」という現実がある。人事制度自体においても、年功序列はなくなりつつあり、働く人の多様性も広がっている。年上や外国籍の部下を持ったり、育児などを理由に働き方を変える部下がいたりと、管理職のマネジメントの在り方も変化しており、求められる役割も従来とは異なる面が多い。本書は、組織変革の中での管理職のあるべき姿として期待されるのは、社員の持続的な成長に寄り添う「グロースマネジャー」であるとして、新任管理職にフォーカスしたキャリア開発を後押しする。
■ 第1章では新任管理職が直面する課題について、経営学者の理論を参照しつつ掘り下げていく。第2~3章では、職場環境を①高負荷型、②低負荷型、③業務キャッチアップ型、④メンバー配慮型に分類し、それぞれに適したマネジメント方法を提案する。第4章ではその類型を基に、多様化するメンバー一人ひとりに向き合ったマネジメントが求められる中での具体的な関わり方等を解説。第5章では「率先垂範する」「コミュニケーションを大切にする」など、グロースマネジャーとしての具体的な40の役割を紹介。部下を管理するのではなく、キャリア形成を支援する “伴走力” を培う。
■ 本書は、著者の一人である岩月 優氏の修士論文に基づく学術的な視点と、著者自身の人事としての経験やインタビュー調査を通じて得た事例を取り上げることで、理論と実践の両面からアプローチしている。管理職としてのキャリアをスタートさせた新任者のトランジション支援となり得る一冊だろう。また、新任管理職だけでなく、彼ら・彼女らを支える人事担当者や経営層にも、組織の持続的成長に寄与する新たなマネジメントの指針を示してくれるに違いない。
内容紹介 いま、管理職に消極的な若年社員が増えている。管理職に就任する若年層は、どんな課題に直面しているのか。 |