2025年06月13日掲載

BOOK REVIEW - 『働く人と組織のための人的資源管理——人的資本経営時代の基礎知識』

全国社会保険労務士会連合会 編、山本 寛 編著
青山学院大学名誉教授 
A5判/364ページ/4000円+税/中央経済社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 本書は、企業人事の基本である人的資源管理について体系的に学ぶことができる。特徴として、①労使関係や労働安全衛生など労務管理に関する分野もバランス良く取り上げていること、②現代の組織が抱えている新しい課題や施策の多くを網羅していること、③リモートワーク、1on1、社内公募制度やアルムナイ制度など、近年さまざまな企業で具体的に検討実施されている施策レベルのマネジメントを数多く取り上げていること、④新しいリーダーシップ理論、学術的な理論やモデルに基づく新しい考え方や概念についても分かりやすく触れていること——の4点が挙げられる。

■ 上記①のとおり、多くの分野を扱っており、全18章で構成される。第1章は「人的資源管理序論」として人的資源管理の重要性、歴史と概念、役割など基本事項を解説。第2章以降は人的資源管理における学術的研究も踏まえながら、採用管理や配置・異動管理、賃金・報酬管理など個別テーマについて詳説していく。例えば第5章では、定年制度の見直しや退職代行サービスの広まりなどにより実務家の関心も高い「退職管理」について、定年制や雇用調整、自発的な退職とアルムナイ制度など幅広い視点から、職務と人のマッチングという意味で雇用管理の一領域と捉え、円滑な退職の在り方、実務上の留意事項等を掘り下げている。

■ 各章は独立したテーマを扱うため、興味のある章から目を通してもよいし、冒頭から読み進め人的資源管理について網羅的に理解を深めてもよいだろう。各分野の専門家が分担して執筆しており、最新の研究や理論、現場レベルの課題解決の方法論を学ぶことができる。組織を統括する経営者や管理職はもちろん、ベテラン層や人事の基本を学びたい新人など幅広い人事パーソンに手に取っていただきたい。

働く人と組織のための人的資源管理——人的資本経営時代の基礎知識

内容紹介
人的資本経営時代の決定版テキスト!

採用、評価、能力開発、報酬管理、時間管理などに加えて、労使関係や労働完全衛生など、労務管理に関する分野をバランスよく取り上げ、人的資本経営、経理労務監査、タレントマネジメント、組織開発、従業員エンゲージメント、キャリア自律等、新しい課題や施策を網羅。

リモートワーク、1on1ミーティング、アルムナイ(卒業生)制度、ハラスメント対策等、施策レベルのマネジメントもフォローし、新しいリーダーシップ理論、自己効力感等、学術的な理論やモデルに基づく新しい考え方や概念についてもカバー。