株式会社ジェイフィール 代表取締役
新書判/304ページ/1300円+税/ディスカヴァー携書
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ バブル崩壊以降、人材をおろそかにして目先の収益ばかりを追い求めた結果、人間関係のギスギスした「不機嫌な職場」が生まれた。しかし、近年の職場では負の感情や不満の声すら出てこず、本当はどう思っているか見えない——。こうした、本質的な対話を避けて互いに距離を置いている状態を、著者は「静かなる分断」と呼ぶ。本書は、経営コンサルタントとして30年以上にわたり組織づくりを支援してきた著者が、職場が静かに分断している理由と、その分断を超えるための方法を解説したものだ。
■ 第1~3章では、多くの社員の心が仕事や会社から離れてしまっている現状と、その背景や理由について解説している。本書の核となるのは第4~6章だ。第4章では「人の心理と特性を理解する」「議論ではなく、対話する」など、静かなる分断を超えるための “五つのカギ” を説明するとともに、職場の中における対話の重要性を説いている。続く第5章では「職場を問い直す」「管理職を問い直す」など、分断を超えるための “七つの対話” のテーマを取り上げ、第6章では「関係」「自己」「組織」という三つの視点による人・組織改革のポイントを解説している。そして、最終章となる第7章で展開されるのは、職場という枠組みを超えた、より良い社会の実現に向けた提言だ。
■ コロナ禍を経て、人々の価値観や考え方は大きく変化したといわれる。職場の一体感が失われ、社員の本音が見えなくなったように感じる管理職や人事担当者も多いだろう。本書で紹介されている “対話” を日々の業務や研修などに取り入れることで、組織の活性化に役立ててほしい。
内容紹介 「組織感情」を分析し続けてきた経営コンサルタントである著者が、職場で起きている問題を明らかにする。 「1on1といっても、本音は言えないし、気をつかうだけ」 ギスギスした職場で社員同士が協力できない状況になっていることをまとめた『不機嫌な職場』から17年。 本書では、職場で起きている問題の構造を明らかにし、人と組織の新しい関係をつくり、より良い未来を切り拓くための、部下と上司、現場と経営、若手とベテラン、立場を超えた「対話」の方法を解説する。 |