一般社団法人日本ストレスチェック協会 代表理事
四六判/272ページ/1700円+税/ディスカヴァー・トゥエンティワン
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 日本人の約30人に1人は精神疾患を抱えているという。この事実からも、メンタルヘルス不調とそれに起因する休職は、会社員にとって身近なことが分かるだろう。本書は、産業医として十数年にわたり、延べ1万人以上のビジネスパーソンと面談してきた著者が、“メンタルヘルス不調で休む前に知っておきたかったこと” を解説したものだ。
■ Chapter1は、心と身体のSOSに気づくために知っておくべきポイントをまとめている。医者にかかるタイミングの目安となる具体的な諸症状や、メンタルヘルス不調の治療方法と特徴などを解説する。続くChapter2が扱うのは、休職期間の前半において留意したい点だ。休職に必要な診断書とそれを出すタイミングや、休職開始時に避けたほうがよい行動・考え方などに触れている。最後のChapter3では、復職の準備期間で心掛けたい事項をはじめ、休職期間後半の過ごし方を紹介。適応障害・双極性障害等、状況ごとの復職準備アドバイスや九つの復職判断(判定)基準、復職に際しての会社との関わり方など、その内容は幅広い。また、各Chapterの末尾には「ケース紹介」を設けており、「休職者のそれぞれの原因・症状・回復状況」7ケース(Chapter2)、「復職準備期間中の『振り返り』」3ケース(Chapter3)など、実際に著者が面談したさまざまな休職者の事例が参考になる。
■ メンタルヘルス不調の当事者は、キャリアへの不安から休職をためらい、復職を焦りがちだ。しかし、著者は本書の中で、仕事を休むという選択肢により自分の将来を支えることができると述べている。病院にかかるかどうかの判断やタイミング、休職中の過ごし方、会社の制度の使い方、金銭面のことなど、社員が抱える不安を理解し、人事担当者として適切な対応を行う上で、本書に盛り込まれた知見は大いに役立つだろう。
内容紹介 眠れない。考えがまとまらない。なぜか涙がでる。常に不安がある。 メンタルヘルスの不調が出はじめて、不安なことばかりかもしれません。 この本は、そんなメンタル不調を抱えるあなたの不安と悩みに応えます。 メンタル不調にならないための本ではありません。 本書では、安心して休み、健やかに働き続けるための |