職場の戦略人事パートナー、株式会社職場のSDGs研究所代表取締役
四六判/304ページ/1700円+税/合同フォレスト
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ いまや「人的資本」という考え方を抜きにして企業経営や事業運営は語れないほど、“ヒト” の価値に対する認識が変わってきている。一方で、人的資本経営を推進しながらも、形式的・表面的な取り組みにとどまる企業も少なくないのではないだろうか。本書では、300社・5万人以上に及ぶ組織開発・人材育成等の支援実績を持つ戦略人事のプロが、こうした日本企業の現状を打開し、人的資本の価値を最大限に引き出すための実践的手法を紹介する。
■ 第1章では「人的資本」と「人的資源」の概念を明確に区別しながら、持続的な個人の活躍を叶えることが事業の発展に貢献すると強調し、第2章ではESG(環境・社会・ガバナンス)を考慮することが人的資本経営にもつながり、持続可能な経営を実現すると説く。第3章では「事業の発展=人的資本(保有能力・スペック)×社会関係資本(絆と信頼)×心理的資本(自信と調和)」という独自の方程式を軸に、これら三つの資本を強化する実践例を紹介。中核となる第4章では「経験の資本化」をテーマとし、社員個々の経験の可視化・言語化を促すシートの活用法やフィードバック手法を具体的に提示する。さらに第5章では戦略人事に求められる「8つの役割」や、人的資本開示の対象として意識すべき「4つのS」などを取り上げ、第6章では社員一人ひとりが「主語」となる企業文化・組織風土を醸成するためのポイントを事例を交えて紹介し、全体を締めくくっている。
■ 本書は、「子どもの習いごと」を例に人的資本と人的資源の相違点を説明したり、「経験の資本化」を「ドラゴンクエスト」などの人気ゲームをプレーする際のプロセスで解説したりと、抽象的になりがちな概念や考え方を、身近な例を用いて分かりやすく伝える工夫が随所でなされている。また、各章では学びを実践につなげるワークを設けるなど、理論と実践の橋渡しを意識している。人的資本経営に取り組む企業トップや管理職、人事担当者にとって、自社の現在地を見つめ直し、次なる一歩を踏み出すための確かなヒントが得られる一冊といえるだろう。
企業の未来を変える! 人的資本経営×ESG思考 「社員が主語」の人事戦略で成長は加速する 内容紹介 豊富な図解&ワーク&事例で人的資本経営の「考え方」から「導入方法」「活用方法」まですっきりわかる! “個人の活躍” と “事業の発展” を持続的な “組織の成長” につなげる。 「活躍の方程式(活躍=能力×状態)」と「経験の資本化」メソッドで今すぐ “モノマネ人事” から抜け出そう! 「未来から愛される会社」は、いつも中心に「人」がいる。 |