パーソル総合研究所 取締役会長
A5判/240ページ/1800円+税/ダイヤモンド社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 今や多くの企業で日常的に行われている1on1だが、その普及に一役買ったのが2017年に刊行された『ヤフーの1on1』だ。本書は、旧ヤフー(現LINEヤフー)の人事担当役員であった筆者が行っていた1on1の手法を解説した同書の増補改訂版に当たる。旧版の要点を網羅しながら、コロナ禍や働き方改革などを経て複雑化した上司・部下の関係に対応し、上司視点でのより実践的な内容へとアップデートされている。
■ 第1章では、効果的な1on1を行うためのコツを、二つのケースを描いたマンガから考える。筆者が掲げる「1on1では部下に十分話をしてもらうことが大切」とのポイントを実践するための上司の心掛け、部下への対応方法等を解説している。第2章では、実際に1on1を始めるに当たり押さえておきたい、①対話の「機会をつくる」、②まずは徹底的に「傾聴」し、「次の行動を決める」、③部下の変化を「観察」し、「フィードバック」する——の3ステップを確認。第3章では、1on1での対話の在り方について四つのモード(バリエーション)を提唱している。部下との信頼関係の構築(モード1:コミュニケーションをとる)、一歩踏み込んだ話し合い・議論(モード4:知的コンバットを行う)など、各モードで部下との関係、対話の状況に応じて上司が取るべきスタンスが、その意図や目的とともにまとめられている。第4章では、「困ったときのFAQ」を掲載している。旧版から時を経て、実務で生じ得るさまざまな疑問や悩みに対し、本書では紙幅を多く割いて回答し、円滑で効果的な1on1のための留意点を教示する。
■ 第2~4章には、専門家との対談を収録。第5章では、筆者とともにヤフーの1on1を構築した吉澤幸太氏と「これからの1on1の話をしよう」と題して語り合っている。ニーズの高まりとともに、1on1の目的や方法、実施意義も変容しているが、本書を通じ上司視点でコミュニケーションのポイントを押さえ、自らと部下の両者にとって有益な1on1を実践してほしい。
増補改訂版 ヤフーの1on1——部下を成長させるコミュニケーションの技法 内容紹介 リモートワークなど、あたらしい働き方に対応した1on1の実践書です! |