2023年03月10日発行 労政時報本誌  4052号 018頁

特集1:本誌特別調査

185社の人事パーソンに聞く

「人事の課題と未来」に関するアンケート

企業を取り巻く経済・社会環境の変化、社員の労働観や働き方の多様化が急速に進む中で、人事部門にも新たな変化が求められています。そうした中で、現場の人事担当者が考える目下の課題とは何か、その課題への取り組みの先にある人事の将来像とはどのようなものか、を明らかにするため、当研究所では2022年12月に「人事パーソンが考える『人事の課題と未来』アンケート」を実施しました。今回は、『労政時報』第4052号(23.3.10)で掲載した、185社の係長~役員クラスの回答による調査結果の主なポイントをご紹介します。
なお、本調査の主な項目別集計結果については、追ってWEB限定記事としてご紹介します。

■調査項目に見るポイント

1 現在の人事課題

特に重要だと考える課題:各分野で最も多かった項目は、「採用、人材確保」に関する課題(三つまでの複数回答)では「人材の定着・離職防止」54.6%、「人事管理」(同)では「人材配置の最適化」55.7%、「企業風土改革、職場環境整備」(同)では「社員のエンゲージメント向上」70.3%など
解決に向けて取り組めていない課題:特に重要だと考えているが取り組めていない人事課題は、「人材育成」に関するものでは「リスキリング」66.7%。「処遇」では「グローバル横断的な処遇の実現」62.5%
自社内の人事課題を把握するため主に用いている手段(三つまでの複数回答):「従業員サーベイ」が68.5%で最多

2 これからの人事・人事部門の在り方

向こう10年程度における人事の変化:「仕事の幅」は82.2%が「広くなる」、「業務量」は68.1%が「増える」と予測するが、人員数は「変化はない」が47.3%で最多
人事部門が今後必要とする変化(三つまでの複数回答):「戦略化」67.6%、「企業変革の推進」52.4%、「従業員への寄り添い」44.3%が上位3項目に挙がる
人事に求められる能力・スキル等:69.6%が「より専門性を特化させる」ことよりも「より幅広い課題への対応力を付ける」ことを優先すべきと回答。求められる能力・スキルとして重要なもの(五つまでの複数回答)は「コミュニケーション能力」69.7%、「課題発見・解決力」69.2%、「企画立案・推進力」60.5%が上位3項目に挙がる
人事部門の将来についての見通し、自身の今後の意向:人事部門の将来についての見通しは、「明るい」「やや明るい」を合わせると70.7%で7割を超える。回答者自身の今後の意向としては、「当面は人事で仕事を続けたい」52.5%と「ずっと人事で仕事を続けたい」25.1%を合わせた “継続派” が77.6%

 

■人事課題に対する取り組み状況

 本調査では、各社の人事課題への認識と取り組みを尋ねるため、「採用、人材確保」「人材育成」「人事管理」「評価」「処遇」「企業風土改革、職場環境整備」の6分野について、下記《参考》のように分野別課題項目を設定した。その上で、六つの分野ごとに、①特に重要と考える課題項目はどれか(複数回答)、②①で選んだうち、現在「取り組めていない」課題項目はあるか(どの項目か)について尋ねた。
 その集計結果から、6分野について“重要だが取り組めていない課題がある”割合はどの程度かを見たものが[図表]である。「取り組めていない課題がある」割合が最も高いのは「人事管理」70.7%で、重要と考える「すべての課題に取り組めている」割合との差は41.4ポイントに上っている。

[図表]6分野に挙げた課題に対する取り組み状況

《参考》分野別の課題項目(本調査で尋ねたもの)

【調査要領】

1.調査時期:2022年12月6日~21日

2.調査対象:『労政時報』定期購読者向けサイト「WEB労政時報」の登録者から抽出した人事労務担当者のうち、係長クラス以上の1万3811人。

3.集計対象:上記調査対象のうち、回答のあった185社(1社1人)。規模別の内訳は、1000人以上99社、300~999人51社、300人未満35社。



『労政時報』第4052号(23.3.10)の特集記事

1.185社の人事パーソンに聞く「人事の課題と未来」に関するアンケート(労務行政研究所)

2.令和5年度施行 労働関係・社会保険改正のチェックポイント

3.人事制度事例シリーズ:三菱マテリアル

4.2024年卒採用の傾向と対策
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