2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - 労働者派遣

労働者派遣を受け入れるには

 派遣先は、労働者派遣契約を結ぶに当たり、派遣元との間で、派遣労働者が従事する業務の内容や派遣就業の場所、派遣期間および派遣就業をする日、派遣就業の開始・終了の時刻、休憩時間などについて、書面で決めておくことが必要です。また、派遣先には、派遣先の労働者が利用する給食施設・休憩室・更衣室(福利厚生施設)について派遣労働者に対しても利用の機会を与えることなどの講ずべき措置もあります。

派遣期間の制限

 労働者派遣においては、派遣先事業所単位と派遣労働者個人単位の期間制限があります。派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度です。派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、派遣先事業所の過半数労働組合(ないときは、労働者の過半数代表者)からの意見を聴く必要があります。また、同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」など)に対し派遣できる期間も3年が限度です。
 なお、期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合のほか、労働者派遣の禁止業務に従事させた場合や無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合、いわゆる偽装請負を行った場合には、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申し込みをしたものとみなされます。

●派遣契約の中途解除
 派遣先は、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ、相当の猶予期間をもって派遣元事業主に派遣契約の解除の申し入れを行うことが必要です。このとき、派遣先の関連会社での就業をあっせんするなどにより、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることも要します。

事業所単位・個人単位の期間制限

●「事業所単位」の期間制限
派遣先は、同一の事業所において派遣可能期間(3年)を超えて派遣を受け入れることはできない

●「個人単位」の期間制限
上記「事業所単位」の派遣可能期間を延長した場合でも、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)で、3年を超えて同一の派遣労働者を受け入れることはできない

※派遣先は、同一の事業所において3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、延長しようとする派遣可能期間が終了する1カ月前までに、事業所の過半数労働組合などから意見を聴く必要がある

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
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