峰 隆之 編 鈴木安名、北岡大介 著
A5判/240ページ/2200円+税/日本経済新聞出版社
A5判/240ページ/2200円+税/日本経済新聞出版社

■ 厚生労働省の「平成30年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所」の割合は59.2%と、約6割の事業所でメンタルヘルスケアに特化した取り組みが行われている。本書は、メンタルヘルス対策を担当する人事・労務担当者に向け、弁護士・産業医・社労士が三位一体となり、それぞれの専門知識と実践経験を結集して執筆したものだ。複雑な職場をうまく「操縦」しながら、働きやすい雰囲気を作るためにはどうしたらよいか、事例や最新の法改正に対応しながらまとめている。
■ 本書は五つの章と巻末資料から構成される。第1章「メンタルヘルス不調の見分け方」では、担当者が対応に苦慮する場面や不調を発見するポイント、受診命令(勧奨)の行い方等が述べられている。第2章「メンタル不調の原因と類型別分析」では、「働き方特性(仕事の計画性、組織における協調性およびコミュニケーション能力)の歪み」に着目する。具体的には、計画性に問題があり、長時間労働になりがちな「マネ下手系(マネジメント下手)」、ねぎらいに対し素直に喜ばず、協調性に問題がある「愛憎系」、意欲と生活経験が不足している「指示待ち系」の3タイプに分類し、深掘りする。
■ 第3章「具体的な対応方法」は、治療に関する初歩的な知識に加え、診断書が提出された後の流れ、職場復帰の判断等を時系列で解説するとともに、産業医から主治医へ提出する「情報提供書」のテンプレートを掲載。続く第4章「トラブル・リスク対応Q&A」では、現場で浮かびがちな質問を模擬事例とともにQ&A形式で解説している。終章となる第5章は「最新の法改正動向とメンタルヘルス対策」と題して、改正労働安全衛生法の概要やパワハラ防止対策にも触れる。メンタルヘルス対策の具体例や対応例を求める担当者に、手に取っていただきたい一冊だ。
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人事・労務担当者のためのメンタルヘルス対策教本 内容紹介 ●メンタルヘルスの見分け方から対処法まで、産業医・弁護士・社労士が一体となって解説 実効性あるメンタルヘルス対策を進めるためには、まずは管理職層を含め、メンタル不調の疾病状況やその見分け方を確認しておくことが重要である。その上でメンタル不調の原因として、職場環境および労働者本人の個体側要因を把握し、原因ごとの対応検討が求められる。 さらに、今回の種々の法改正では、1過重労働防止、2ハラスメント防止、そして3個人の健康情報管理の適正化、を強く求めており、法改正内容を正確に把握した上で新たな実務対応策の立案が必要となる。 一方で、産業医の役割が拡大。自らが労働者に自分の業務を告知しなければならないほか、労働者ひとりひとりの健康状態を把握することも求められるようになり、権限と負担が増しているが、その具体的手法についても執筆する。 |