2020年02月28日掲載

BOOK REVIEW - 『組織は「言葉」から変わる。 ストーリーでわかるエンゲージメント入門』

黒田天兵 著
株式会社揚羽 ブランド戦略プロデューサー 
四六判/296ページ/1600円+税/朝日新聞出版 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊



 世界的な調査会社であるギャラップ社の2017年発表の調査によると、日本は「熱意溢れる社員」の割合が6%(アメリカは32%)であり、調査した139カ国中132位と低い結果であった。著者は、高い一体感を持ち急成長を遂げる「強い組織」に共通するものとして注目を浴びている「エンゲージメント」を、「誰か・何かに貢献しようとする志」と定義する。本書は、組織内で「エンゲージメント」を高めていく流れをストーリー仕立てでひもといていく1冊だ。

 大手素材メーカーの株式会社SOZAIで開発営業課長を担う主人公(今居完人)、SOZAIの社長(古井二一)、そして主人公と縁がある組織変革コンサルタント(灰出巌)を主な登場人物として物語が進行していく。各章末では、ストーリーに基づいて著者による解説が示されるという構成になっている。誰もが名前を聞いたことがあるスポーツ選手・監督の発言や方針を事例として扱うとともに、組織変革コンサルタントが主人公に図表を用いて説明をしているため、初学者でも具体的なイメージをつかみやすい点が本書の特長だ。

 物語の終盤で、主人公は社長にインナーブランディングに関する提案を行い、展開が加速していく。ミッション・ビジョン・バリューの策定、組織の「WHY(≒そもそも何のためなのか)」を追求する管理職ワークショップの開催、社内における反応の変化――など、実際にエンゲージメントを高めるために組織で行う取り組みの流れが、ブランド戦略プロデューサーである著者ならではの視点で描かれている。自組織の「エンゲージメント」を考える際、ぜひ手に取っていただきたい一冊だ。

 



組織は「言葉」から変わる。 ストーリーでわかるエンゲージメント入門

内容紹介

社員と会社の最高の関係のつくり方。社内外の「Why?」とデータを言語化し、成果に直結する。働きがいを生みだすインナーブランディング。社員の主体的な創造性を引き出し、成果に直結する働きがいを生み出すマネジメント手法、今注目の「エンゲージメント」がストーリーでわかる!