2012年03月01日掲載

人事業務のアウトソーシング活用実態 - アウトソーシングをした業務に関する評価

 
 Q4  アウトソーシングした業務に関して、アウトソーシング先(委託先)の評価について当てはまるものをお答えください。なお、複数のアウトソーシング先(委託先)を利用している場合は、「平均値」でご回答ください。
 

 ここでは、上記Q3で「過去3年間にアウトソーシングをしたことがある、もしくはアウトソーシングしている」と回答した企業に対して、実際に利用したアウトソーシング業務におけるアウトソーシング先(委託先)の評価をたずねた。

 
 ■ 全 体
 

  各項目とも最も高い割合を示したのは、ほとんど「ほぼ期待どおり」という項目である[図表9]
 そこで「期待を大幅に上回る」5点、「期待をやや上回る」4点、「ほぼ期待どおり」3点、「期待をやや下回る」2点、「期待を大幅に下回る」1点として、各項目の平均点を算出した(平均値は「分からない」という回答が設問ごとに異なるため、「得点合計÷(100-「分からない」と回答した企業割合)」で調整して小数点第2位まで算出)。
 平均点が3.00より大きい(ほぼ期待どおりよりも評価が高いケース)のは、以下の8項目である[図表10]

・採用面接者への研修 3.50
・休暇・勤怠管理 3.14
・幹部候補研修 3.08
・カフェテリア・プランの設計・運用 3.06
・研修計画の企画・立案 3.05
・メンタルヘルス対策 3.05
・財形支援制度の設計、管理事務 3.05
・新入社員研修 3.02
 逆に、平均点が低かった項目をみると、採用に関するものや人事制度・人事管理に関するものなど、結果的に成果が見えやすいものが多く挙げられる傾向がある。
・管理職や高度専門職のスカウト 2.32
・中途採用応募者への採用面接 2.60
・eラーニングの実施 2.70
・新卒者の募集 2.72
・給与計算・社会保険業務 2.86
・人事情報の管理 2.86
・人事制度の構築・運営 2.86

 
 ■ 規模別
 

 規模別に全項目の平均を求めたところ、3000人以上2.30、1000~2999人2.74、300~999人2.98、100~299人2.58、100人未満1.99となった。300~999人が最も高く、それよりも規模が大きいもしくは小さくなるに従って数値が小さくなっている。規模が小さすぎると手間暇との兼ね合いでコストメリットを出しにくく、規模が大きくなるほど処理のボリュームも増え、よりきめ細かな対応が求められる。回答者自身の主観が入るとはいえ、300~999人の規模では、各種業務においてアウトソーシングによる費用対効果のメリットを感じられる環境にあるといえよう。
 なお、上記の全体の結果では「採用面接者への研修」が3.50で最も高かったが、規模別にみてみると、1000~2999人が4.50と突出して高いことが分かる。いうなれば、3.50はこの規模の結果に引っ張られた結果といえる。
 そこで、全規模を通して一様に評価が良好だった項目をみると、「幹部候補研修」「新入社員研修」「ライフプラン研修」「考課者訓練」など教育・研修分野の業務が多い[図表11]

 

人事関連業務におけるアウトソーシングに関するアンケート調査
労務行政研究所 編集部調査
本調査における「アウトソーシング」とは、単発的に業務を外注したり、派遣社員に業務を依頼するようなものではなく、年間単位など継続的に業務の一部または全部を外部(他社)に処理させるために委託し、委託業務の運営管理は自社以外の場所(他社)において行うものを指す。また、グループ内企業であるシェアードサービス会社へのアウトソーシングは含むが、シェアードサービスセンターのような社内の一組織で業務を行うようなものは含まない。