2025年12月25日掲載

モデル賃金・賞与実態調査:付帯調査紹介 - 第6回・完 初任給引き上げに伴う在籍者賃金の調整(大学卒・総合職の場合)(2023年)

 労務行政研究所が毎年実施している「モデル賃金・賞与実態調査」では、実施年によってテーマを変えて付帯調査を実施し、「特別集計」として掲載している。本連載では、2017年以降に実施した特別集計について、6回にわたり紹介する。
 最終回は、2023年に実施した「初任給引き上げに伴う在籍者賃金の調整(大学卒・総合職の場合)」について、結果を取り上げる。

※特別集計については、労務行政から毎年発行している『モデル賃金・年収と昇給・賞与』(こちら)で掲載しています

※第6回(2023年調査)の調査要領は、こちらをご覧ください

 23年度は、在籍者のベースアップだけでなく、新入社員の初任給額をこれまで以上に大きく引き上げる動きも多く見られた(当所調査では大学卒・総合職について調査・集計)。初任給をある程度引き上げた企業では、在籍者賃金との整合をどう図るのか(例えば、入社1~5年目程度の若年者との水準逆転を避ける手当てなど)、ベースアップの実施方法と併せて検討したものと思われる。
 そこで、23年度の初任給引き上げに伴い在籍者賃金の調整をどう行ったのか、大学卒・総合職に係る対応について尋ねた。

23年度の初任給の改定状況[図表1~2]

75.4%とほぼ4社に3社が引き上げ

 まず、23年度の初任給の改定状況について尋ねたところ、75.4%とほぼ4社に3社が「引き上げた」としており、「据え置いた」22.5%を大きく上回った[図表1~2]。規模が大きいほど「引き上げた」割合は高く、1000人以上の83.6%に対し、300人未満では60.0%と20ポイント以上の差がある。逆に300人未満では「据え置いた」が3社に1社(33.3%)となり、1000人以上(14.9%)に比べて引き上げが難しい企業も少なくないものとみられる。

[図表1]2023年度大学卒・総合職の初任給の改定状況

図表1

[図表2]2023年度大学卒・総合職の初任給の改定状況

図表2

在籍者賃金の調整の有無と調整原資の取り扱い[図表3、事例]

「調整した」が66.7%。うち、通常の賃上げ配分の中で対応する企業が約6割を占める

 初任給を引き上げた企業に対し、在籍者賃金を調整したか尋ねたところ、「調整した」が66.7%、「調整していない」が33.3%となった[図表3]。「調整した」割合は、規模別では1000人以上(70.4%)、産業別では非製造業(69.0%)がともに約7割で、他の規模・産業(製造業)よりやや高くなっている。
 続いて「調整した」企業(集計社数129社中86社)における調整原資の取り扱いを見ると、「通常の賃上げ配分の中で取り扱っている」60.5%が6割超を占め、「通常の賃上げ分とは切り離し、別原資で取り扱っている」38.4%を20ポイント以上、上回った。集計社数が少ないことを前提に規模別の傾向を見ておくと、「通常の賃上げ配分の中で取り扱っている」は300人未満(16社中12社・75.0%)で最も高く、これに次ぐ1000人以上(38社中23社・60.5%)とともに6~7割台となっている一方、300~999人は53.1%(32社中17社)と半数をやや上回る程度で、他の規模に比べて「通常の賃上げ分とは切り離し、別原資で取り扱っている」(46.9%)との差はあまりない。また、産業別では、製造業・非製造業ともに6割程度となっている。

[図表3]在籍者賃金の調整の有無と調整原資の取り扱い

図表3

 なお、「調整した」企業について、調整対象とした在籍者の範囲と調整方法を[事例]にまとめた。対象範囲としては、初任給額との “逆転” 回避の観点から “新卒入社2~5年目程度の者” “若年層/下位資格適用者” などとし、初任給引き上げ額と同額を加算(あるいは初任給額を下回らないように調整)する取り扱いのほか、“全社員について引き上げる” ケースも散見された。調整方法では一律のベースアップのほか、資格給等賃金項目の一部に対する加算や手当増額での対応、措置期間として23年度に限るものや、一定年数内で調整額を漸減させていく取り扱いなども見られる。

[事例]調整対象とした在籍者の範囲と調整方法

[注]1. 「規模」は、「A」=従業員数1,000人以上、「B」=同300~999人、「C」=同300人未満を表す

2. 以下では、回答のうち一部を抜粋して掲載した

事例

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