2025年07月11日掲載

BOOK REVIEW - 『[新版]組織行動の考え方 個人と組織と社会に元気を届ける実践知』

金井壽宏、髙橋 潔、服部泰宏 著
神戸大学名誉教授、立命館大学総合心理学部教授、神戸大学大学院経営学研究科教授 
四六判/638ページ/3400円+税/東洋経済新報社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 本書は、組織行動分野の定番テキストの20年ぶりとなる改訂版である。経営学の中核を成す「組織行動論」に関する知識と実践を、豊富な事例と理論を交えて解説し、特に、AI技術の革新やDX人材の不足、リスキリングに対する社会的関心の高まりなど、現代の組織課題に対応している点が改訂のポイントだ。本書全体を通したテーマは、「組織行動を学ぶことが個人の元気のもととなり、組織にエネルギーを与え、日本という国を元気にすること」である。単なる理論書ではなく、現場での行動変容を支援する「実践知」の書といえる。

■ 五つのPARTで構成される本書では、個人から組織全体へと徐々に視野を広げて論を展開する。行動科学に基づく人間心理の理解に始まり、評価やリーダーシップの話を交えながら、組織の力を高める理論を解説。読者の内省を促し、実践に役立つ知識を得ることができる。PARTⅠでは主に個人のパーソナリティーやコンピテンシーに着目し、人材採用やキャリア支援について論じる。PARTⅡでは従業員のモチベーションや職場のウェルビーイングといった観点から組織構築において重視すべき理論を取り上げる。PARTⅢでは仕事の成果や人事評価、PARTⅣではマネジメントやリーダーシップを軸に展開。PARTⅤでは、個を活かし組織の力を高めるため、人材育成や組織構築の方法論を紹介する。

■ 執筆陣は、組織行動論や人材マネジメントの第一人者であり、理論と実務の両面から本テーマにアプローチしている。入門書でありながら組織行動について網羅し、読みやすさや面白さを重視する一方で、専門家から見ても奥行きを感じさせる内容・構成になっている点が特徴だ。想定読者としては、第一に経営学に興味を持ったビジネスパーソンを、第二に経営専門職大学院に通う社会人大学院生を、第三に組織行動や人の問題に関わる人事担当者を置いている。本書を読み進めることで自分自身の行動や自組織の在り方を見直す契機となるだろう。

[新版]組織行動の考え方 個人と組織と社会に元気を届ける実践知

内容紹介
ロングセラーのMBAテキスト、20年ぶりの改訂!
最近のAI化、オンライン化、リモート化などのトレンドも加筆

「組織行動(OB)」とは、経営学の必須科目の1つであり、人と組織に焦点を当てて企業の経営力を高める方法を考える学問である。本書では、人材採用、キャリアデザイン、モチベーション、ストレスマネジメント、人事評価、リーダーシップ、チームワーク、組織文化などの各トピックについて、それぞれ学問的な背景を押さえつつも、個々のビジネスマン、管理職、人事担当者、経営者といった人々が、それぞれの立場で日々の実践に役立てられるように書かれている。本書全体を通したテーマは、組織行動を学ぶことが個人の元気のもととなり、組織にエネルギーを与え、日本という国を元気にすることである。MBAの必須科目、組織行動論の定番テキストを20年ぶりに大幅改訂。