第40回:キヤノン事件(東京地裁 令 5. 6.28判決)
産業保健判例研究会による判例研究の第40回を掲載する。同会では、専属産業医、人事労務担当者、弁護士等により、2010年から年4回、労働者のメンタルヘルスを中心とした健康問題に関する裁判例の研究会を定期的に開催している。
今回取り上げる裁判例は、定年後の再雇用契約を締結していた原告Xが、被告Y社から雇止め(以下、本件雇止め)をされたことから、本件雇止めが違法無効であるなどと主張し、労働契約上の地位確認、不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案である。Xは、再雇用契約に基づく就労開始後、欠勤、遅刻、早退を繰り返すようになり、所定労働日の半分以上を欠勤した。また、定年前には、産業医に対する攻撃等を行った結果、懲戒処分を受けている。判決ではXの請求はいずれも棄却された。なお、本稿は判決文(『労働経済判例速報』No.2539号)を基に検討を行った結果である。