求める人材像構築までの道筋を定め、ポートフォリオとして表現する
2020年に発表された経済産業省の「人材版伊藤レポート」では、人材戦略に求められる五つの共通要素の一つとして「動的な人材ポートフォリオ策定」を挙げている。人材ポートフォリオとは、自社における人的資本の構成を分析・可視化したもので、最適配置を実現し、業績向上の最大化を目指す人材マネジメント手法の一つである。また、各部署の人材の過不足状況が明確になることから、採用や人材育成・キャリア開発においても有用であり、人的資本経営において重視されている。「いつまでに」「どのような人材を」「どれくらい」という具体的な議論が可能になる段階まで人材ポートフォリオを具体化するためには、経営戦略との連動が必要であり、全社的な取り組みが求められる。
本記事では、「人的資本経営」と「動的な人材ポートフォリオ」の意味合いを整理した上で、ポートフォリオ策定の要件や方法、また、人的資本経営に取り組む企業におけるポートフォリオ策定・運用事例について、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の佐藤修平氏に解説いただいた。

さとう しゅうへい
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
経営コンサルティング部人事戦略チーム 主任コンサルタント