仕事と介護を両立しやすい仕組みの工夫と風土醸成により、多様な人材の活躍を目指す
1. 仕事と介護の両立支援の状況
[1]介護離職の現状
総務省統計局の「就業構造基本調査」によると、家族の介護・看護を理由とする離職者数は、2010年代から今日に至るまで、10万人前後で推移している。こうした状況を受け、政府は2016年に「新・三本の矢」の中で「安心につながる社会保障」として「介護離職ゼロ」の目標を掲げ、仕事と介護の両立支援を重要な政策課題の一つとして位置づけ、各種制度の拡充や見直しを行ってきた。しかし、その後も介護離職者数は高止まりの状況であり、企業においては人材不足や社員の高齢化が進む中で、本人が希望するキャリアの実現や多様な人材の活躍、生産性向上等の観点から、介護離職の防止が喫緊の課題となっている。
[2]仕事と介護の両立支援制度
介護期における法定上の両立支援制度の概要は[図表1]のとおりである。介護休業、介護休暇、所定外労働の制限(残業免除)、時間外労働・深夜業の制限、選択的措置義務(介護のための所定労働時間の短縮措置等)について定めがある。また、厚生労働省より仕事と介護の両立支援制度を分かりやすくまとめた特設サイト※が公開されているので、併せて参照いただきたい。
既に多くの企業で介護休業制度等の規定が整備され、公的情報も充実してきている一方、介護離職数が高止まりしている背景には、柔軟な働き方などを含めた仕事と介護の両立支援制度について、制度の目的や内容、利用方法に関する知識が不十分であることが考えられる。
既に多くの企業で介護休業制度等の規定が整備され、公的情報も充実してきている一方、介護離職数が高止まりしている背景には、柔軟な働き方などを含めた仕事と介護の両立支援制度について、制度の目的や内容、利用方法に関する知識が不十分であることが考えられる。
※参考:厚生労働省「介護休業制度 特設サイト」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/