事業戦略等の実現を見据えた施策を進め、
従業員の自律性を引き出す3社
1. 従業員エンゲージメントをめぐる課題
[1]従業員エンゲージメントの現状と課題
「エンゲージメント」という概念は、「ワークエンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」の2種類に大別できる。このうちワークエンゲージメントとは、“従業員が仕事に誇りを感じ、没頭して働きがいを感じている状態” を指す。一方で、従業員エンゲージメントにはさまざまな要素が含まれており、一言で表現することが難しい概念だが、ビジネスリサーチラボ代表取締役の伊達洋駆氏は、「個人が組織や仕事と良好な状態にあること」と表現している(本誌第3997号-20. 7.24参照)。
従業員エンゲージメントが高い組織では、競争力の強化や持続可能な成長の実現につながると考えられる。従業員エンゲージメントを向上させることで、個人の生産性や従業員満足度が高まり、効果的なリーダーシップを発揮できる一方、組織内におけるコラボレーションやイノベーションが促進されるためだ。また、人口減少等を背景とした人手不足が深刻化する中では、離職率を低下させる効果にも期待がかかる。
それでは、わが国の企業における従業員エンゲージメントの現状はどのようになっているのだろうか。経団連が会員企業の労務担当役員等を対象に行った調査レポート「2023年 人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」によると、社員のエンゲージメント※の現状について、「高い層と低い層がある(まだら)」と回答する企業が54.7%で最も多い[図表1]。次いで「全体的に高い状況にある」が18.9%、「わからない(調査していない)」が17.8%、「全体的に低い状況にある」が8.6%となっている。
また、「高い層と低い層がある(まだら)」「全体的に低い状況にある」と回答した企業に、エンゲージメントが低い層として当てはまるものを尋ねたところ(複数回答)、「中堅層」が50.5%で最も多く、「若手層」が39.4%、「ミドル非管理職」が35.6%と続いている[図表2]。組織の未来を担う若手~中堅層において特にエンゲージメントが低い状態となっており、企業の持続的な成長のためにも、従業員エンゲージメント向上に積極的に取り組んでいく必要があるといえよう。
従業員エンゲージメントが高い組織では、競争力の強化や持続可能な成長の実現につながると考えられる。従業員エンゲージメントを向上させることで、個人の生産性や従業員満足度が高まり、効果的なリーダーシップを発揮できる一方、組織内におけるコラボレーションやイノベーションが促進されるためだ。また、人口減少等を背景とした人手不足が深刻化する中では、離職率を低下させる効果にも期待がかかる。
それでは、わが国の企業における従業員エンゲージメントの現状はどのようになっているのだろうか。経団連が会員企業の労務担当役員等を対象に行った調査レポート「2023年 人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」によると、社員のエンゲージメント※の現状について、「高い層と低い層がある(まだら)」と回答する企業が54.7%で最も多い[図表1]。次いで「全体的に高い状況にある」が18.9%、「わからない(調査していない)」が17.8%、「全体的に低い状況にある」が8.6%となっている。
また、「高い層と低い層がある(まだら)」「全体的に低い状況にある」と回答した企業に、エンゲージメントが低い層として当てはまるものを尋ねたところ(複数回答)、「中堅層」が50.5%で最も多く、「若手層」が39.4%、「ミドル非管理職」が35.6%と続いている[図表2]。組織の未来を担う若手~中堅層において特にエンゲージメントが低い状態となっており、企業の持続的な成長のためにも、従業員エンゲージメント向上に積極的に取り組んでいく必要があるといえよう。
※経団連は、エンゲージメントを「働き手にとって組織目標の達成と自らの成長の方向性が一致し、『働きがい』や『働きやすさ』を感じられる職場環境のなかで、組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢を表す概念」と整理している。