全学歴で前年度比3.77~3.88%程度の増加となる見通し
労務行政研究所
日本経済は経済活動の正常化などにより内需を中心に持ち直しつつあったが、2023年7~9月期の実質GDP(季節調整済み)は前期比-0.7%(年率-2.9%)と4四半期ぶりにマイナス成長となった。今後については、物価高や海外経済の減速の影響はあるものの、個人消費は賃金上昇を背景に回復し、設備投資はデジタル化・人手不足対応などの課題解決に向けて拡大傾向が続く見通しである。輸出はインバウンド消費などサービス輸出が拡大することなどから、23年度の実質GDP成長率は1.6%程度になるとみられる。また、今年の春季賃金交渉は、昨年と同様に物価高への対応が焦点の一つであり、「構造的な賃金引上げ」に向けて経営サイドも積極的な姿勢を示していることから、民間主要企業で3.75%程度になると想定した。
一般の労働力需給に関して、完全失業率(季節調整値)は19年末には2.2%と低い水準にあったところ、20年から高まり始め、同年10月には3.1%となったが、その後少しずつ低下し、21年7月以降は2.4~2.8%で推移している。有効求人倍率(同)についても、19年は1.60倍前後で推移していたが、20年に入ってから低下し、同年8~10月に1.04倍と底を打った。その後22年12月には1.36倍と引き締まったものの、以降、若干緩み、23年11月は1.28倍となっている。このように雇用情勢は引き締まり傾向になってきており、初任給に関しては、下表のように平均的には3.77~3.88%程度の増加となる見込みである。