2023年09月08日発行 労政時報本誌  4062号 018頁

特集1:本誌特別調査

懲戒制度の最新実態

労務行政研究所では、「懲戒制度に関する実態調査」を2017年以降6年ぶりに実施しました(報道発表資料はこちら)。
多数の人が働く企業組織では、日々さまざまな問題が起き、企業秩序維持のために懲戒処分の検討が必要となることもあります。しかし、従業員が起こす非違行為は多様であり、それらに対してどのような処分をするか、懲戒規程に定められた基準だけでは判断に迷うことも多いのではないでしょうか。
そこで本調査では、各企業の懲戒制度の内容とともに、最近1年間における懲戒事案の発生状況、個別事例の内容とその対応措置、ケース別に見た懲戒処分の適用判断についても調べています。

懲戒段階の設定状況と種類:懲戒段階の設定は、「6段階」が41.8%で最も多く、「7段階」が28.4%、「5段階」が15.6%で続く[図表1]。「懲戒解雇」はすべての企業、「譴責」「減給」「出勤停止」は9割以上の企業が設定(複数回答)

[図表1]懲戒段階の設定状況

賞罰委員会の設置と構成員:賞罰委員会などの審査機関の「設置を定めている」企業が71.1%。構成員の人数は平均6.8人
被懲戒者への弁明機会:弁明の機会を「付与する」が85.2%。弁明の場における第三者の同席は、「認めている」が16.5%
無断欠勤日数別に見た懲戒処分:「3日」で譴責(34.8%)、「5日」で減給(22.2%)、「7日」で出勤停止(26.9%)、「14日」で懲戒解雇(77.4%)が最も多い
出勤停止処分の日数と出勤停止期間中の賃金の支給状況:「7日」34.0%と「10日」25.5%が多く、合わせると約6割(暦日・労働日の区分設定によらず集計した場合)[図表17]。賃金は「支給しない」が92.5%
解雇における退職金の支給状況:懲戒解雇では「全く支給しない」63.2%、諭旨解雇では「全額支給する」30.5%が最も多い[図表2]

[図表2]解雇における退職金の支給状況

ケース別に見た懲戒処分(複数回答):懲戒解雇が最も多いのは「売上金100万円を使い込んだ」ケースで75.9%[図表3]

[図表3]30のケース別に見た被懲戒者に対する懲戒処分(複数回答)

[注]1.懲戒の種類として規定されていなくても、「諭旨解雇」など実態として相当する措置を行っている場合は集計に含めた。

2.下段の青字は前回17年調査のもの。17年の「戒告・譴責」には「注意処分」を含む。⑩⑮⑯㉒は前回調査していない。

3.前回17年調査において⑱は「コンピューターに保存されている重要なデータやプログラムを改ざんした」、⑳は「就業時間中、個人のブログやSNS等に日常的に書き込みをしていた」、㉑は「インターネット上で会社や上司・同僚を中傷していた」、㉚は「クレジットカードによる買物のし過ぎで、自己破産の宣告を受けた」として調査。

【労務行政研究所調査の調査要領】

1.調査時期:2023年4月10日~7月5日

2.調査対象:全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3794社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上。一部「資本金5億円以上または従業員500人以上」を含む)1600社の合計5394社。ただし、持ち株会社の場合は、主要子会社を対象としたところもある。

3.集計対象:上記調査対象のうち、回答のあった225社。規模別の内訳は、1000人以上65社、300~999人83社、300人未満77社。



『労政時報』第4062号(23.9.8)の特集記事

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4.2023年賃上げ・夏季一時金の最終結果

5.2023年人事院勧告

[付録]実務に役立つ法律基礎講座(97)介護休業

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