A5判/280ページ/3100円+税/日本加除出版
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 労働法の分野では、法律の条文のみからは判断基準を導き出せない争点が多い。そのような争点は、過去の多くの裁判例により形成されたルールに基づき事案の解決が図られるため、裁判例の理解を進めることは、企業で実務を行う上でも重要である。本書は、企業が一度は遭遇するような33のケーススタディ(Q&A)について、押さえておくべき142の裁判例を取り上げながら、企業法務を専門とする弁護士らが基本から解説したものである。
■ 本書で取り扱うテーマは「採用」「労働時間」「賃金」「ハラスメント(セクハラ、パワハラ、マタハラ)」「退職・解雇」「出向・転籍・配転」の六つがあり、各テーマについて5~6のケーススタディを掲載している。各ケースでは、冒頭に設問と端的な解答を提示した上で、細かく解説を行っていく。解説文中には実務ポイントの提示、関連する裁判例の紹介が織り込まれる。"酒に酔った際のセクハラ発言の加害者責任""大事な会議に朝寝坊するなど勤務成績が良くない社員に対する普通解雇の可否"など、ケース(Q)が具体的であることも特長だ。
■ 本書で掲載されている裁判例は、人事部が社内で相談を受けたり、弁護士や社会保険労務士が顧問先から相談を受けたりした際に参照する機会の多いものであり、第一線の弁護士である執筆者らが厳選している。そのため、本書を読むことで、身近で発生する労務問題がどのように裁判で判断されるか、実務上押さえておくべき近時の裁判例にはどのようなものがあるか等を知ることができる。人事実務の初心者のみならず、ベテランの人事実務担当者にも手に取っていただきたい一冊だ。
これだけはおさえておきたい! ケーススタディ33&基本労働判例142の重要ポイントQ&A 内容紹介 ●労務問題がどのように裁判で判断されたのか、豊富な実例を基に解説。 |