2022年06月10日掲載

BOOK REVIEW - 『これだけはおさえておきたい! ケーススタディ33&基本労働判例142の重要ポイントQ&A』

岩田合同法律事務所 編、藤原宇基 編著
A5判/280ページ/3100円+税/日本加除出版 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 労働法の分野では、法律の条文のみからは判断基準を導き出せない争点が多い。そのような争点は、過去の多くの裁判例により形成されたルールに基づき事案の解決が図られるため、裁判例の理解を進めることは、企業で実務を行う上でも重要である。本書は、企業が一度は遭遇するような33のケーススタディ(Q&A)について、押さえておくべき142の裁判例を取り上げながら、企業法務を専門とする弁護士らが基本から解説したものである。

■ 本書で取り扱うテーマは「採用」「労働時間」「賃金」「ハラスメント(セクハラ、パワハラ、マタハラ)」「退職・解雇」「出向・転籍・配転」の六つがあり、各テーマについて5~6のケーススタディを掲載している。各ケースでは、冒頭に設問と端的な解答を提示した上で、細かく解説を行っていく。解説文中には実務ポイントの提示、関連する裁判例の紹介が織り込まれる。"酒に酔った際のセクハラ発言の加害者責任""大事な会議に朝寝坊するなど勤務成績が良くない社員に対する普通解雇の可否"など、ケース(Q)が具体的であることも特長だ。

■ 本書で掲載されている裁判例は、人事部が社内で相談を受けたり、弁護士や社会保険労務士が顧問先から相談を受けたりした際に参照する機会の多いものであり、第一線の弁護士である執筆者らが厳選している。そのため、本書を読むことで、身近で発生する労務問題がどのように裁判で判断されるか、実務上押さえておくべき近時の裁判例にはどのようなものがあるか等を知ることができる。人事実務の初心者のみならず、ベテランの人事実務担当者にも手に取っていただきたい一冊だ。

これだけはおさえておきたい! ケーススタディ33&基本労働判例142の重要ポイントQ&A

内容紹介
人事・労務管理には裁判例の理解が不可欠!
多様な重要判例をもとに、実務のポイントを解説!

●労務問題がどのように裁判で判断されたのか、豊富な実例を基に解説。
●採用から退職まで、実務で問題となることの多い33事例と押さえておくべき142の基本判例を収録。
●実務家が会社から相談を受けたときに、まず参照にすることの多い裁判例や、企業の法務部・人事担当者が判断に悩む際に参照すべき裁判例を多数掲載。

――収録事例――
◆勤務成績や勤務態度の不良を理由に従業員を解雇することはできますか?
◆55歳以降の賃金を大幅に引き下げることはできますか?
◆長時間労働で従業員が自殺。安全配慮義務違反を問われる可能性はありますか?
◆ハラスメントの加害者を懲戒処分する際の注意点を教えてください
→初学者が知っておくべき判例を解説!

――内容のポイント――
企業が一度は遭遇するような具体的なケーススタディで、判断基準を詳しく解説。
重要判例を踏まえた実務のポイントを豊富に掲載。前提事実も記載した解説で、要点がぐっと掴みやすい。金融機関・学校・広告会社など、多数の判例を収録。