2022年06月10日掲載

BOOK REVIEW - 『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント』

竹内 義晴 著
特定非営利活動法人しごとのみらい 理事長 
四六判/240ページ/1600円+税/翔泳社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 本書は、1990年前後以降生まれの「さとり世代」「Z世代」である若手社員との関係に悩む上司に向けた、コミュニケーション問題の解決を図る実務書である。もちろん、上司と部下の世代間ギャップは、どの時代にも存在してきた問題だろう。しかし、ハラスメントという考え方の浸透や新型コロナの影響で、職場の常識そのものが変わった現代において、上司の悩みは大きくなっていると著者は指摘する。適切なコミュニケーションによって世代間のギャップを乗り越え、お互いの強みと弱みを知り、成果を出すことができるチームをつくることこそが、本書の目指すマネジメントの在り方である。

■ 本書は4章で構成され、第1章は現代の上司が若手社員と世代間ギャップを強く感じる社会的な構造を解説し、現代のリーダーとして必要な視点を示す。第2章ではコミュニケーションに焦点を当て、企業研修での筆者と受講者のやり取りを例に出しつつ、コミュニケーションギャップを生む「三つの罠」とギャップを縮めるスキルを紹介。第3章は筆者が専門とするコミュニケーション心理学の視点から、スキルをさらに具体化して解説する。

■ 最終章の第4章では、視点を広げてチームの在り方を取り上げる。若手時代に受けてきたマネジメントと現代で求められるマネジメントの差に悩み、時代の変化に翻弄(ほんろう)される「就職氷河期世代」の上司自身に、「楽しく働く」ためには意識の切り替えが必要であると呼びかける。世代によって「正しさ」の価値観は異なるという前提に立ち、リーダーとして「どうありたいか」を大切にすることを、著者の経験を基にまとめた一冊だ。実務に生きるコミュニケーションスキルを学ぶ機会として、本書をご活用いただきたい。

Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント

内容紹介
若手社員に見限られる前に。

新入社員や若手社員とギャップを感じたことはありませんか?
若手世代の上長になる係長、課長は就職氷河期世代にあたります。
対して若手社員はZ世代・さとり世代(以下、Z世代)。
この2つの世代は、働くことへの意識や価値観に大きな差があります。
コミュニケーションがうまくいかなくても、不思議なことではありません。

本書では、Z世代の若手社員に「噛み合わなさ」を
感じている管理職に向けて、部下とよい関係性を築くための
コミュニケーションのポイントを解説していきます。