2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - 解雇の手続き

解雇

 解雇は、労働者に与える影響が大きいうえに紛争も増大していることから、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と、権利濫用に該当する解雇の効力について労働契約法16条で規定しています。
 もし、労働者を解雇しなければならないようなときには、解雇権の濫用とされないように、ていねいな手続きを踏むことが求められます。

解雇の予告

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。
 予告期間の計算については、この解雇予告がされた日は算入されず、その翌日より計算し、期間の末日の終了をもって期間の満了となります。この30日間は、労働日ではなく休日を含めた暦日で計算されます(下図参照)。
 予告は、いつ解雇されるのかが明確になるように特定しておく必要があります。義務づけはされていませんが、後日争いが起こることを避けるためにも、書面にて予告をするほうがよいでしょう。
●解雇予告手当
 30日前に解雇予告をしない使用者は、予告にかえて30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。30日分の解雇予告手当を支払えば即時に解雇できるほか、右図のように、解雇予告と解雇予告手当を併用することもできます。なお、この手当は解雇日までに支払います。

予告期間中の労働者の身分

 解雇予告期間中であっても労働者は解雇日までは働く義務があり、使用者はその労働に対して賃金を支払う必要があります。言い換えれば、予告期間中に労働者が欠勤したときはその分の賃金は支払わなくてもよく、会社側が休業を指示したような場合にはその分の休業手当を支払うこととなります。

解雇の予告と解雇予告手当

●解雇日の30日前に、解雇予告をしなければならない

●解雇日の30日前に予告をしない場合は、その分の解雇予告手当(平均賃金)を支払わなければならない

解雇予告の適用除外

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
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