2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - 産前・産後休業、育児時間

産前・産後休業

 6週間(多胎妊娠の場合には14週間)以内に出産する予定の女性が休業(産前休業)を請求した場合、使用者はこの労働者を働かせることはできません(女性から請求がない限り、働かせることは可能です)。
 また、妊娠中の女性が請求した場合には、負担を軽くするためにほかの軽易な業務に変更する必要がありますが、そのためにわざわざ新たに軽易な業務をつくる必要はありません。
 一方、産後8週間を経過しない女性は、請求の有無を問わず働かせることはできません(産後休業)。ただし、産後6週間を過ぎた女性が請求した場合であって働くことに支障がないと医師が認めた業務に就かせることは、問題ないとされています。

妊産婦の労働時間

 妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」といいます)が請求した場合には、時間外労働、休日労働または深夜労働をさせることはできません。管理監督者(「労働時間とは」参照)については、妊産婦であっても、時間外労働、休日労働をさせることはできますが、深夜労働については適用が除外されず、請求があった場合にはその範囲で深夜労働が制限されます。
 また、重量物を取り扱う業務や危険有害業務に妊産婦を就かせることもできません。

育児時間

 生後満1歳未満の子を育てる女性は、通常の休憩時間のほかに、1日2回それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することができます。請求された場合、使用者はその育児時間中の女性を働かせることはできません。このとき、この育児時間を有給とするか無給とするかは、労使間の自由です。

産前・産後

妊産婦の労働時間など

●妊娠中のものが請求した場合
ほかの軽易な業務に転換させなければならない

●妊産婦が請求した場合

❶変形労働時間制の規定にかかわらず、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることはできない

❷災害その他避けることができない事由や36協定にかかわらず、時間外労働、休日労働をさせてはならない
➡❶❷について、管理監督者には適用されない

❸深夜業をさせてはならない
➡❸については、管理監督者も適用される

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
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