Harald CONRAD ハラルト・コンラット
英国国立シェフィールド大学東アジア研究所 准教授
小山健太 こやま けんた
東京経済大学コミュニケーション学部 准教授
Hendrik MEYER-OHLE ヘンドリック・マイヤーオーレ
シンガポール国立大学日本研究学科 准教授
1 はじめに
本連載の第1回では、外国籍人材の新卒採用の状況を解説し、社内の多様性(ダイバーシティ)が高まることによって生じる課題について検討した。そして、第2回では、まず、日本で働く動機について外国籍社員一人ひとりの個別性に着目することが、仕事への満足感や適応に大きな影響を与えることを論じた。次に、外国籍人材の採用や育成について十分な準備がされていないことを外国籍新卒社員が敏感に感じ取ってしまい、会社への信頼感や期待感を著しく低下させてしまうことを避けるためには、まずは組織として外国籍新卒採用の目的を明確にすることが必要となることを解説した。そして、長期間にわたり、また人間関係を重視する日本企業の人材育成の考え方について、言語化して外国籍新卒社員に伝える重要性について説明した。
本連載の最終回である今回は、まず日本語で仕事をするという状況に着目する。次に、外国籍新卒社員に本人の能力を活かす機会を提供する方法について論じる。そして、外国籍人材の長期的活用のためのメンタリングや退職時対応について検討する。いずれも、人事制度やマネジメントの抜本的な変革ではなく、もっと現実的ですぐに取り組めるアプローチを提案する。解決策のポイントは、認識やマインドセットの違いに気づいて、日々の行動を変化させることである。
2 外国籍社員が日本語で仕事をするということ
⇒外国籍新卒社員が日本語で仕事に取り組む困難さに配慮する
入社前に日本語能力を習得している外国籍新卒社員も多い。そうした外国籍新卒社員の中には、日本語で仕事ができていることを、長期間にわたる日本語学習の成果だと考えている人たちもいる。また、日本企業の中で日本語を駆使して業務に取り組めていたり、社内外の人たちと日本語でコミュニケーションできていることについて強い誇りを持っている外国籍新卒社員もいる。
しかし、そうした日本語が得意な外国籍新卒社員であっても、外国語である日本語を常に使用して仕事をすることについて課題やストレスを感じている。それは、日本企業に特有なコミュニケーションの在り方に起因している場合が多い。
例えば、日本企業の若手社員育成プロセスでは、若手社員が担当業務に関する資料を自分で調べたり、上司や先輩に質問したり、かなり主体的に行動することが求められる。しかし、外国籍新卒社員にとって、こうしたプロセスは大量の日本語の理解を求めるものであり、日本人新卒社員よりも多くの時間がかかる。また、自社のコアビジネスについて現場から理解してもらおうという意図から、新卒社員の初任配属が国内営業になることも多い。しかし、日本人顧客に対して丁寧な日本語で仕事をすることは日本人新卒社員でも苦労することであり、外国籍新卒社員の場合はなおさらである。さらには、職場メンバーで情報を共有するために、さまざまなやりとりがメールのCCで届くが、大量の日本語メールの重要度を瞬時に見極めることは外国籍新卒社員にとって難しい作業である。また、昇格試験を実施している企業の場合、そうした試験は日本語で実施されることがほとんどなので、それもまた外国籍社員にとっては容易なことではない。
そうした大量の日本語を使用する難しさに加えて、日本語の場合は「行間を読む」という難しさもある。「阿吽の呼吸」「空気を読む」「部下は上司の背中を見る」などで表現されるように、日本企業の職場はハイコンテクスト(編注:以心伝心が可能な組織文化)である場合が多く、非言語のコミュニケーションが重視され、相手を察することが求められる。そのために、日本語能力が高い外国籍新卒社員であっても、日本人社員のようには状況を理解したり、社内で関係性を構築することが難しい。我々のインタビュー調査でも、外国籍新卒社員が次のように話してくれた。
「事実として何が起こっているかは理解できますが、その背後にあるニュアンスまではあまり理解ができないんです。だから、日本人が私に察してほしいと思っていることまで、私は言葉で質問する必要があるんです。私がまったく理解できていないと周りの日本人は思っているだろうと感じています。そう、単に理解できていないことを理解しようと努力しているだけなんですが…」(エレクトロニクス企業に勤務する男性の外国籍新卒社員)
こうした状況について、「できるだけ英語でコミュニケーションをとるようにすべきだ」と主張する人もいる。しかし、日本人顧客に対しても英語でコミュニケーションをとることは現実的ではない。また、英語を公用語化すると、日本人社員が思っていることを適切に表現することが難しくなり、結果として社内での豊富な情報共有を阻害することにもなりかねない。
解決策のポイント!
社外とのやりとりが必要な仕事を、外国籍新卒社員にすぐに担当させないことを検討してみる。まずは社内業務を担当させ、そのプロセスを通じて、日本語能力が向上し、自社の仕事のプロセスを十分に理解して、自社のビジョンやバリューもしっかりと共有できた段階で、社外とのやりとりが必要な仕事を担当させるという順番が重要である。
また、日本語が 流 暢 で毎日の仕事では問題がないように思えても、外国籍新卒社員にとっては、ストレスがかかり非常に疲れることであるということを、周りの日本人社員が理解することも必要である。外国籍社員が理解できるように明確に伝えることや、業務や情報の重要度を示すことなど、日本人社員は言語化してコミュニケーションすることを常に意識することが重要である。そして、日本語らしい微妙な表現を伴う業務については、疲労が少ない午前中にするなど、外国籍新卒社員の心理的負担を軽減する配慮も大切である。
3 外国籍社員が自分の強みを発揮できる機会の創出
⇒外国籍新卒社員が自分の得意なスキルを活用できる機会を提供する
本連載の第1回で、「インクルージョン」という考え方を紹介した。インクルージョンとは、社員が組織への帰属意識を持ちながらも、一人ひとりの個性も尊重されている状態である。実際、我々のインタビュー調査でも、外国籍新卒社員にとってインクルージョンは重要であるように思われた。
仕事の状況について批判的であったり、退職を考えているような外国籍新卒社員であっても、表面的には組織への帰属意識が高いという場合があった。それは、社員同士が「家族」であるかのような雰囲気の職場で、外国籍新卒社員が「外国人」としてではなく、「同じ会社の若手社員」とみなされている場合に多いようである。社員が相互支援していて、明確な競争がないような職場である。また、そうした会社は、住宅手当などの福利厚生も充実していることが多い。
「社員同士の激しい競争がないことはよいことだと思います。日本企業には相互支援の文化があって、私が失敗した時に他の社員がサポートしてくれます。でも、競争がないことの負の側面もあって、自分がよい仕事をしても、他の人よりも高い評価や報酬を得ることはないんです。相互支援はよいことだとは思うのですが、ぬるさも感じてしまいます」(エレクトロニクス企業に勤務する女性の外国籍新卒社員)
「日本企業のよいところは差別がまったくないことです。外国籍社員も対等な一社員であり、家族のような雰囲気があります。でも、負の側面として、周りの日本人社員とは異なる私の背景や視点に関心を持ってもらえないということがあります」(エレクトロニクス企業に勤務する男性の外国籍新卒社員)
しかし、そうした表面的な帰属意識が、長期的な組織への貢献意欲につながるとは限らない。上記の外国籍新卒社員のコメントは、個性も尊重する必要性を示唆している。上司や同僚が外国籍新卒社員の背景や視点に気づくことが大切である。繰り返しになるが、我々は外国籍新卒社員の個性や成果をしっかりと認めることが重要であると考えている。それは、業務の達成目標をもっと明確にしたり、個人ごとに厳格な業績評価をするなどの抜本的な変革でなくても対応できるはずである。むしろ、周りの日本人社員が外国籍新卒社員の状況について理解することが重要である。
日本企業の新入社員の育成方針は、社内外の人間関係を構築したり、社内の意思決定プロセスに参画したりできるように、現場の仕事を通じて能力を開発するというものである。しかし、こうした新入社員の育成プロセスによって、外国籍新卒社員は自分のスキルを発揮することを妨げられていると感じてしまいがちである。高度な日本語能力が求められる状況だと、外国籍新卒社員は職場に貢献できていないという思いが強くなり、日本人社員と同じように社内で成長していくことが難しいと考えてしまう。最悪の場合、外国籍新卒社員が自分なりのアイデアを発言することが職場の日本人社員から否定されることもある。アイデアの内容ではなく、アイデアを発言しようとすること自体が否定されることさえある。
「『私たちはそうやっているのだから、あなたもその通りにやってほしい。あなたと同期の日本人新卒社員はあなたの言うようにはやってはいないよ』と言われました。最近では、職場での印象を悪くしないために、自分の意見を強く主張したり、疑問を提示せずに、自分の中で留めておいたほうがよいと言われます」(IT企業に勤務する女性の外国籍新卒社員)
外国籍新卒社員を育成するプロセスでは、異質性、認識の食い違い、コンフリクト(衝突)が生じるものだということを、日本人上司や同僚は理解する必要がある。そして、こうしたコンフリクトは、根本的な価値観の違いではなく、コミュニケーション上の問題に起因していることに気づくことが重要である。したがって、上司や同僚は、問題の本質を明確にすることが必要であり、そしてコンフリクトが創造性、新しいアイデアの創出、日本人社員の育成にもつながることを理解することが重要である。
前例がいつも唯一の正しい方法とは限らないことを意識すべきである。従来のやり方が既に効率的・効果的でなくなっていることに日本人社員が気づいていない可能性もある。したがって、上司や同僚は、外国籍新卒社員のアイデアや違和感に注意を払うべきであり、必要があれば日本人社員のほうの意識や行動を変える契機とする姿勢が重要である。我々のインタビュー調査では、ある日本人上司が次のような事例を教えてくれた。部下である外国籍新卒社員が「過度に丁寧な日本語で職場の打ち合わせ記録を作成することが、本当に必要なのか」という質問を投げ掛けてきたことをきっかけに、議事録を簡略化することにしたそうである。つまり、コンフリクトを創造性に結び付けるためには、日本人社員側がコンフリクトから学習し、自分自身の認識や行動を変化させることが重要なのである。
外国籍新卒社員も結果としては日本人社員と同様のことができるようになると我々は考えていて、インタビュー調査でも実際に日本企業で活躍している外国籍社員にも会うことができた。しかし、入社初期の段階で自分のスキルを発揮できないというフラストレーションが強くなり、離職してしまった外国籍人材がいることもまた事実である。日本企業がこの問題に対処するためには、「日本人社員と同じように働きたいし、外国籍であることを言い訳にしたくない」という外国籍新卒社員の気持ちに寄り添うことが重要である。
「いろいろな違和感を抱くのですが、『職場の人たちは外国籍だからよく分かっていないだけ』だと言います。でも、頻繁にそう言われてしまうと、自分が職場で受け入れられていないと感じてしまうんです」(金融企業に勤務する男性の外国籍新卒社員)
外国籍新卒社員が抱く違和感や特性を認めるということは、甘やかしたり、期待値を下げるなどの「特別扱い」をすることを意味しない。むしろ、外国籍新卒社員はそうした特別扱いを受けることについて違和感を抱いており、自分たちの職場適応や社内での長期的活躍に支障が出ると感じている。
外国籍新卒社員が求めていることは、自分たちの特性や可能性を発揮できる機会である。例えば、母語を使用できないことを不満に感じている外国籍新卒社員に対して、母語を使うことで職場に貢献できる機会を提供することは、外国籍新卒社員を「インクルージョン」の状態にすることにつながる。
「英語の面で同僚をサポートできていることはよいことだと思っています。それは、私が会社に対して本来業務のほかに貢献しているということだからです。でも、通訳の人がいるので、日本人社員は私の英語力を期待していないようです。もちろん英語のサポートは私のメインの業務ではありません。しかし、私が貢献できることで貢献してもよいと思うのですが、受け入れてもらえないことにむしろフラストレーションを感じてしまいます」(エレクトロニクス企業に勤務する男性の外国籍新卒社員)
解決策のポイント!
日本企業が外国籍新卒社員に対応する時に、期待値を下げるべきではない。むしろ、外国籍新卒社員の育成期間やプロセス、必要な支援について検討すべきである。特に、通常業務に加えて、外国籍新卒社員が自分の得意なスキルを職場で発揮できる機会をつくることは有益である。そうすることで、外国籍新卒社員は職場で自分の可能性を示すことができ、達成感も得ることができる。また、日本語で仕事をするという難易度の高い状況であっても、職場に受け入れられているという感覚を持てることにつながる。
4 外国籍社員の支援に効果がある「メンタリング」
⇒継続的かつ専門的なメンタリングの仕組みを構築する
言語によるコミュニケーションやフィードバックの明確化を組織全体に浸透させ、結果として外国籍新卒社員の組織コミットメントを向上させるには、長い年月が必要となる。そうした努力を重ねると同時に、外国籍新卒社員の採用や育成に対する投資効果を最大化するための他の方策も検討する必要がある。我々のインタビュー調査で、外国籍新卒社員が有効だと語っていたのは「メンタリング」である。外国籍新卒社員は自分の抱える問題をメンターに相談できることを歓迎していて、メンタリングのプロセスを通じて、自社における仕事の進め方や期待値について理解を深めることができたと語っていた。
しかし、外国籍新卒社員の中には、メンターについて批判的な立場の人もいた。例えば、メンターが別の支社に異動することになり、突然メンタリングが受けられなくなってしまったという事例があった。また、同じ職場で働いているメンターに中立性がなくて困ったという事例もあった。その外国籍社員は、メンターが自分の同意なしに上司や人事部に接触してしまい、メンターに裏切られた気持ちになったという。
したがって、外国籍新卒社員に対して長期的かつ中立的に支援できるように、メンターを慎重に選任・育成する必要がある。そういう意味では、メンタリングにおいて、国家資格であるキャリアコンサルタントが重要な役割を担うと考えられる。キャリアコンサルタントはキャリア支援の専門職である。企業内のキャリアコンサルタントは増加傾向にあるが(労働政策研究・研修機構、2018)、現状での主たる支援対象者は日本人社員である。そのため、外国籍社員が直面している問題について、企業内キャリアコンサルタントも詳しくは知らない。そのため、企業内キャリアコンサルタントが効果的なメンタリングを実施するためには、外国籍新卒社員の状況について理解を深める必要がある。
解決策のポイント!
メンタリングの専門的トレーニングを受けた人材が、信頼関係を構築しながら長期間にわたって外国籍新卒社員の成長を支援することが重要である。キャリア支援の専門職(国家資格)であるキャリアコンサルタントも大きな役割を担うことが期待されるが、効果的なメンタリングを実施するために、まずは外国籍新卒社員の状況について理解を深めることが必要である。
5 外国籍社員の離職に際して検討すべき方策
⇒離職する外国籍新卒社員への対応として、海外現地法人への転籍を視野に入れる
外国籍新卒社員が離職することになると、外国籍人材は信用できないと判断してしまう日本企業は少なくない。一度でも外国籍新卒社員が離職すると、日本企業は外国籍人材への投資を控えてしまう傾向がある。しかし、離職する外国籍新卒社員を海外現地法人に転籍させることで、人材を長期的に活用できる可能性があることを検討すべきである。
外国籍新卒社員が離職を意思決定する理由は、必ずしも日本で働くことや勤務先企業への不満を抱いているためとは限らない。例えば、母国にいる親を介護するためなど、他の要因による可能性もある。さらに、我々のインタビュー調査では、日本企業での仕事の進め方を強く批判している外国籍新卒社員であっても、企業の風土や育成機会については好印象を持っている場合が多いと感じられた。
本連載の第1回で、日本企業の海外現地法人が、現地採用での優秀な人材の確保や事業の現地化について課題を抱えていることを説明した。日本で育成した外国籍新卒社員が離職することになった場合、その人材を海外現地法人で雇用することによって、日本企業での仕事の進め方をよく理解している優秀な人材を海外現地法人の中に確保できることになる。実際に、日本企業を離職する外国籍新卒社員は、母国で日系企業に就職することが多い。したがって、離職する外国籍新卒社員を自社の海外現地法人に転籍させることは、人材への投資を無駄にしないためにも意味のある対応であるといえよう。
第1回の記事でも指摘したとおり、日本企業は事業を現地化することに注力しているものの、現地で優秀な人材を確保して定着させることについて依然として大きな課題に直面している。昔のような明白な「ガラスの天井」(昇進の限界)はないものの、日本本社との関係性が弱いことによるコミュニケーション上の問題など、現地採用の社員には限界があるのも事実である。また、海外企業の現地法人であることは人材採用におけるブランド力が弱い。そのため、現地で一番の優秀層を採用することが難しく、本社よりも採用基準を緩和せざるを得ない状況にある。その点、日本本社で採用した外国籍新卒社員は、本社での新卒採用基準を満たした人材である。さらに、日本で採用された外国籍新卒社員であれば、日本人社員とのネットワークも構築できていて、日本企業特有のコミュニケーションスキルも身に付けていると考えられる。
したがって、日本企業は離職する外国籍新卒社員との関係性を一切断ち切ってしまうことで人的資源投資を無駄にするのではなく、そうした人材に対して自社の海外現地法人に転籍する選択肢を提供すべきである。つまり、ここで重要なのは、離職を「裏切り行為」と捉えて、離職後の活用を一切検討しないことは避けるべきということである。離職者の活用として、現地法人への転籍は実行可能な方法の一つであろう。日本本社で経験を積んだ外国籍新卒社員が母国の現地法人に転籍する場合、本社と母国の両方の文化や商慣習を理解しているため、本社と現地法人との間の情報共有の結節点になり得る。日本人駐在員だけが現地法人を統括するという批判がよくあるが、もしも本社で経験を積んだ外国籍新卒社員が現地法人に転籍して主要なポストで長期間活躍することができれば、そうした批判を解消することにもつながる。
解決策のポイント!
外国籍新卒社員が離職する際に、海外現地法人への転籍を選択肢として提示することを検討すべきである。
6 さいごに
今回の3回連載記事では、日本企業における外国籍新卒社員の状況、特に入社初期の数年のうちに直面する課題について検討した。入社初期というのは、日本企業が新入社員の組織社会化(自社のビジョンやバリューなどの内在化)や育成を強く意識する時期である。外国籍新卒社員の入社初期における問題は、日本企業と母国の企業との人事制度の違いに起因しているものではない。むしろ、日本人社員との認識の違いや、言語化したコミュニケーション不足によるものである。
外国籍新卒社員が離職したり、過度に同化したりすると、日本企業は多様性のメリットを享受できなくなる。外国籍新卒社員の問題の多くは、相互理解やコミュニケーションを改善することで対処できると我々は考えている。我々が提示した「解決策のポイント」を参考に、日本人上司や同僚が日々の行動を変えていただければ幸いである。必ずしも抜本的な変化が必要なのではなく、外国籍新卒社員の立場に立って、日本人社員が自身の認識や行動を変えるだけで、多くの問題は対処できるはずである。
その結果として、外国籍新卒社員だけでなく、すべての社員が個性を発揮して活躍できる多様性尊重型の組織へと日本企業が発展していくことを願っている。
【参考資料】
・労働政策研究・研修機構(2018)「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」『労働政策研究報告書』No.200
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2018/0200.html

Email: h.conrad@sheffield.ac.uk
Webpage: https://www.sheffield.ac.uk/seas/staff/japanese/conrad
英国国立シェフィールド大学東アジア研究所准教授。専門は日本経済と経営管理。2019年4月からは、ドイツのデュッセルドルフ大学現代日本学科の教授に就任予定。日本のビジネスおよび経済について教鞭をとる。研究は日本における人事管理と社会政策が中心。2011年・2016年同志社大学社会学部産業関係学科客員教授。日本の雇用と企業年金改正についての研究論文をInternational Journal of Human Resource ManagementやJournal of Social Policy誌等で発表。

Email: koyama@tku.ac.jp
Webpage: https://www.tku-crossculture-lab.net/
東京経済大学コミュニケーション学部准教授。専門は組織心理学、キャリア心理学。慶応義塾大学と上智大学でも非常勤講師。日本型組織・人事モデルの進化に関心があり、現在の主な研究テーマは「日本本社で働く高度外国籍社員と日本人上司との相互学習を通じた組織開発」。東京経済大学グローバル組織・キャリア開発研究所所長として、産学連携の研究・実践プロジェクトにも取り組んでいる。

Email: meyerohle@nus.edu.sg
Webpage: http://courses.nus.edu.sg/course/jpsmohc/
シンガポール国立大学日本研究学科准教授。日本のビジネス、マネジメント、消費者文化について教鞭をとる。研究は日本の人事管理、マーケティング、小売業が中心。2008年立命館大学商学部客員研究員、2016年早稲田大学大学院経済学研究科訪問学者。著書に"Innovation and Dynamics in Japanese Retailing"(2003年)および"Japanese Workplaces in Transition"(2009年)などがある。