2017年11月10日掲載

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント - 2017年11月


ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主席研究員 松岡 仁)


 ProFuture代表の寺澤です。
 ついこの間までハロウィンでにぎわっていた街並みが、最近は早くもクリスマスムード一色に様変わりしています。今年ももう残り2カ月を切りました。1年がたつのは早いものです。
 さて、先日、採用支援会社の方と話をしていたら、早くも来年6月から募集が始まるサマーインターンシップに向けてのツール制作の打ち合わせをお客さまと始めていると聞きました。今年の夏から来年2月にかけて実施されるインターンシップは、主に2019年卒の学生を対象としたものになりますので、来年のサマーインターンシップとなれば、それは主に2020年卒の学生を対象としたものになります。2017年11月の時点で、2020年4月採用に向けた準備がすでに始まっているというのです。現在も来春入社予定の採用活動を継続している企業も少なくないことを考えると、実に3年分の採用活動が錯綜(さくそう)していることになります。採用担当者にとっては大変な時代になったものです。

企業の採用活動を「人」の観点で振り返る

 前回は、「採用ホームページ」と「セミナー・会社説明会」について、2018年卒の就活学生から評判が良かった会社を見てみましたが、今回は「人」の観点から、「リクルーター・社員」「面接官」で印象の良かった企業とその理由を見ていきたいと思います。学生は、1人につき1~2社しか回答できませんので、ここで社名が挙がった会社は学生に特に好印象を与えた会社ということになります。また、調査では逆に印象が良くなかった企業とその理由も聞いています。ここでは企業名は伏せますが、その理由を紹介させていただきますので、反面教師として参考にしてください。

 まずは、文系学生が選んだ「リクルーター・社員の印象の良かった会社」の上位企業とその理由を見てみましょう[図表1]。1位は昨年に引き続き「三井住友銀行」、2位は昨年3位の「JTBグループ」、3位には昨年同率3位だった「みずほフィナンシャルグループ」が入りました。以下、上位に入った企業の選択理由コメントを紹介します。

[図表1]リクルーター・社員の印象の良かった会社(文系)

順位 企業名 票数
1 三井住友銀行 38
2 JTBグループ 22
3 みずほフィナンシャルグループ 21
4 日本航空(JAL) 18
5 損害保険ジャパン日本興亜 16
6 東京海上日動火災保険 14
7 三井住友海上火災保険 12
7 三菱東京UFJ銀行 12
7 日本郵政グループ 12
10 三井物産 11

  資料出所:HR総研/楽天・みん就「2018年新卒就職活動動向調査」
  (2017年6月、以下図表も同じ)

[1位]三井住友銀行

・合同説明会でとても気さくに話しかけていただいて、選考に関係のない就職活動全体の相談にも乗っていただいた(中堅私立大)

・親身になって相談に乗ってくださった(中堅私立大)

・とにかく学生思いだから。私の就活の状況に合わせて話を聞いてアドバイスをくださり、きっと仕事でもお客さまに寄り添って対応しているのだと容易に想像できた(早慶クラス)

・社員の方が三井住友銀行のありのままの情報を話していたので良くも悪くも企業を知る上で役立った(早慶クラス)

・本選考に向けた模擬面接や応援などのサポートがうれしかった(早慶クラス)

・こちらの質問に対して丁寧に答えてくれた(旧帝大クラス)

・社員一人ひとりが自分の個性を存分に発揮して活躍していることが伝わってきた(旧帝大クラス)

・私が頑張ったことを評価して、良い部分をたくさん引き出してくださった(上位私立大)

・仕事への熱意が他行と明らかに違うことを感じられた(上位私立大)

・自分の分からないところやダメなところを残らず聞いてもらえて良かった(その他私立大)

[2位]JTBグループ

・社員の方がたくさんの質問に答えてくれた(中堅私立大)

・自分の会社をただ推すのではなく、私の関心とこれまでの経験が、どのようにそこでは活かせるか、ともに考えてくれる方々だった(早慶クラス)

・真剣に話を聞いてくれ、親身になって対応してくれた(早慶クラス)

・私の将来やりたいことについて、真剣にいっしょに考えてくれた。人柄が明るい方が多く、話しやすかった(上位私立大)

・質問がどんなに殺到しても、一人ひとりに丁寧に答えていただいた(その他私立大)

・説明会の後にOBの方と話す機会をたくさんとってくれたので、たくさん質問できた(その他私立大)

・面接の待ち時間にも声を掛けてくれるなど非常に丁寧な対応だったから(その他国公立大)

[3位]みずほフィナンシャルグループ

・社員の皆さんが大きな声で爽やかに挨拶してくれて気持ちが良かった(中堅私立大)

・本選考前までのサポートが手厚かった(早慶クラス)

・下の名前で呼ばれるほど親しくしてくれた(早慶クラス)

・親身に話を聞いていただいたから。一人の人間として接してもらえたような気がした(上位私立大)

・柔らかく、人当たりが良く、学生側の話も聞きながらいろいろな話をうかがうことができた(旧帝大クラス)

・自分のことを真剣に考えてくれていたと感じたため(旧帝大クラス)

・イキイキとしていたし、すべての社員の方が話しやすい感じがした(その他私立大)

[4位]日本航空(JAL)

・何度か説明会に参加し、毎回違う言葉で、私たち就活生のことを気遣ってくださり、心に花を咲かせてくださいました(中堅私立大)

・質問にすべて答えてくれようと、会社のマイナスの部分も一生懸命話してくださった(中堅私立大)

・表面上や形式上でない、本物の心からのおもてなしを初めて感じ、感動した。それだけでなく女性の強さ、厳しさ、責任を感じ、こんな大人の女性になりたいと初めて思った(中堅私立大)

・人柄が温かい。親身に相談に乗ってくれた(早慶クラス)

・選考が始まる前、待合室の雰囲気作りにとても気を遣ってくださった。就活生に対してもJALブランドのサービス力を妥協なく見せてくださると思った(上位私立大)

[7位]日本郵政グループ

・親身になって自分の話を聞いてくれた(早慶クラス)

・何度か説明会に参加した人向けの個別説明会でどんな質問にも徹底的に親切丁寧に答えてくださったから。この人と働きたいと思った(上位私立大)

・真面目で人当たりの良さそうな方が多かった(上位国公立大)

・受付での対応や質問への回答の雰囲気がとても良かったため。とてもきちんとしていて、話しやすい空気を作ってくれているという印象でした(その他私立大)

[10位]三井物産

・社内の雰囲気やモチベーションの高さを感じた(上位私立大)

・学生に対して、非常にフランクかつ丁寧に対応してくださった(上位私立大)

・選考に関係なく、多くの社員の方と話す機会を設けてくれた(早慶クラス)

・社員さんの話が非常に面白く興味を引くものが多かった、自分の志望理由に対してなどアドバイスをしてくれた(旧帝大クラス)

・日本を支えているという責任を持って仕事をしているのが伝わってきて、とても熱く語っていてすごいと思った。また、選考時の話もとても勉強になった(その他私立大)

就活支援に奔走するリクルーター・社員

 続いて、理系学生が選んだ「リクルーター・社員の印象の良かった会社」を見てみましょう[図表2]。1位には、昨年トップ10圏外だった「トヨタ自動車」と昨年3位の「日立製作所」の2社が同数で並び、3位には昨年トップだった「パナソニック」が入りました。4位には昨年9位の「デンソー」が入り、昨年「パナソニック」と並んでトップだった「三菱電機」は、今年は「カゴメ」「キヤノン」らと並んで7位となりました。こちらも上位企業の理由コメントを見てみましょう。

[図表2]リクルーター・社員の印象の良かった会社(理系)

順位 企業名 票数
1 トヨタ自動車 16
1 日立製作所 16
3 パナソニック 13
4 デンソー 9
5 NTTデータ 7
5 西日本電信電話 7
7 カゴメ 6
7 キヤノン 6
7 三菱電機 6
7 川崎重工業 6
7 東海旅客鉄道(JR東海) 6

[1位]トヨタ自動車

・OBのリクルーターが毎週学校に来てESの添削や話をしてくれた。優しく、時に厳しい指摘をいただけた(上位私立大)

・何度も会う機会があり、気軽に相談に乗ってもらうことができた(上位国公立大)

・就活生のことを考えてくれているのが話している中で伝わってきた(上位国公立大)

・聞いた質問に対して、ひと言目に結論をズバッと教えていただける。これにより全員が常に考えながら仕事をしているから簡潔な受け答えができるのだと感じた(上位国公立大)

・丁寧にES添削などをしていただけた。話も面白かった。雑談も含めつつ、真面目な話もしてくださった(旧帝大クラス)

・非常に熱心に学生の話を聞いた上で企業説明を行ってくれた(旧帝大クラス)

・内定までしっかりサポートしてもらえた。時間を割いてもらって、ESの内容などをチェックしてもらえた(上位国公立大)

[1位]日立製作所

・懇親会でいろいろ教えてくれた。弟のようにかわいがってくれた(早慶クラス)

・質問に対して、自分の考えをはっきりと答えてくれた(上位私立大)

・リクルーターの方がとても丁寧にアドバイスをしてくれた(上位国公立大)

・堅実にしかし新しいことをやっていく活力を、話しぶりから感じた(上位国公立大)

・エントリーシートの添削に関してダントツで良かった。この先輩社員のようになりたいと思った(旧帝大クラス)

・事業部を悩むときも親身になってくれた。自分の意思を尊重してくれた(旧帝大クラス)

・担当のリクルーターが付いてくれてES等を丁寧に添削してくださった(旧帝大クラス)

・ESの添削や面接の練習をしてもらえた(その他国公立大)

[3位]パナソニック

・親身になって対応してくれた(上位私立大)

・他企業が第一志望だったのにも関わらず、ESの添削や就活の相談など親身になって対応してくれた(上位国公立大)

・面接の練習でかなりのフィードバックがもらえた(上位国公立大)

・プレゼン内容の資料を添削してくれた(旧帝大クラス)

・一方的に話すだけでなく、こちらの現状も聞きながら的確な対応をしてくれた(旧帝大クラス)

・研究室のOBだったため、親身に相談に乗ってくれた(旧帝大クラス)

・面接のための資料作りやESの添削を丁寧にしていただいた(旧帝大クラス)

[4位]デンソー

・いきいきと働いている様子が分かるような人柄だった(上位国公立大)

・ざっくばらんに話していただいた(上位国公立大)

・リクルーターが多数いて、長い時間質問に答えてくれた。また、合格できるように教えてくれる情報が、ほかの会社では言ってくれないような選考プロセスについての内容だった(旧帝大クラス)

・非常に親身になって話を聞いてくださり、質問にも誠実に答えていただけた(旧帝大クラス)

[7位]カゴメ

・学生一人ひとりのことを考えてくださっていることが伝わってきた(上位国公立大)

・説明を詳しくしてくれた(その他私立大)

・笑顔が良かった(その他国公立大)

[7位]三菱電機

・非常に優しく、就活生の目線で話をしてくださった(上位私立大)

・エントリーシートの添削や面接練習の機会を多く設けてくれた(上位国公立大)

・リクルーターさんが、エントリーシートの添削から、面接で使う研究発表の資料の添削まで手厚いサポートをしてくれた(上位国公立大)

・親身になって、メールでの質問や、面接でのプレゼン資料の添削などをしてくださった(上位国公立大)

[7位]東海旅客鉄道(JR東海)

・一人に対し長時間を割いてくれた(中堅私立大)

・JR東海に勤めているという使命感がどの社員の方からも感じられ、こういう社会人に私もなりたいと思えた(旧帝大クラス)

・元気で明るくニコニコしていた。仕事ができそうな雰囲気があった(旧帝大クラス)

・選考途中で丁寧にフォローしてもらった(旧帝大クラス)

 学生のコメントを見ると、好印象のリクルーター・社員の要素として、「親身」「丁寧な質疑応答」といった企業・仕事に関する情報提供と並んで、「エントリーシートの添削」「研究発表資料の添削」「模擬面接」などの就活支援、それもかなり具体的な、その会社に合格するためのノウハウ指南の提供を挙げる学生が多くなっています。
 「いきいきと働く様子にあこがれた」「信念をもって働いていることが分かった」「社会人の視野の高さに気づかされた」といったコメントが、以前はもっと見受けられたのですが、最近はめっきり減ってきています。リクルーターや社員からそこまで突っこんだ話が出てきておらず、手っ取り早い就活支援にとどまってしまっているのかもしれません。ただ、学生や新入社員を評して「マニュアル世代」と呼ぶようになって久しいですが、その度合いは年々強くなっているような気がします。

印象の良くないリクルーター・社員とは

 HR総研では、「印象の良かった」だけでなく、「印象が良くなかった」企業とその理由も調査しています。ここでは、企業名は横に置いておいて「印象が良くなかった理由」だけを見てみたいと思います。

・上から目線だった。学歴がない学生を馬鹿にしていた

・印象が暗く、いっしょに働きたいと思うことができなかった

・仕事へのやる気が感じられない

・対応が遅かった

・特にその会社の良いところなどを自信持って話をしてなかった

・疲れている人が多い印象だった。会社の方針について質問したがはぐらかされたと感じた

・また連絡すると言っていたのにその後連絡がこなかった

・機嫌悪そうな顔をする社員が多かった気がします。むしろバカにされたとよく思います

・流れ作業のように感じた

・若手社員が質問に答えられなかった

・対応が雑だった。質問をしても、質問内容とずれた返答だった

・質問に対して、真摯(しんし)な回答ではなかった

・質問がしにくい空気だった

・他社を批判する姿勢が残念だった

・明らかに選考と関係のある面談だったのに選考に関係がないと言い張っていた

・マナーや振る舞いに品がなかった

・偉そう。話を聞いても質問で返してくる

・頭ごなしにすべて否定してくる

・インフルエンザで欠席する電話をした際、名前も確認されず切られた

・態度がものすごく悪かった

 悪印象の理由では学生への対応・態度の悪さを挙げる学生が多くなっています。対応・態度が合格点でも、さらにきめ細かい就活支援が加わらないと、高評価にはつながりづらいようですね。
 リクルーターや社員の印象が、就職志望度にどの程度影響したかを聞いたところ、文理ともに4割程度の学生が「非常に影響した」と回答し、「影響した」とする回答も含めると、8割前後の学生が「影響した」と回答しています [図表3]

[図表3]リクルーター・社員の志望への影響

 インターンシップ、採用ホームページ、セミナー・会社説明会等を通じて築いてきたイメージや入社志望度を、リクルーターや社員の印象次第でさらに高めることもできる一方、一部の社員の誤った対応によっては、学生の志望度をリセットしてしまうリスクもあることを認識していただく必要があります。学生の前面に送り出すリクルーターや社員の人選には細心の注意を払うだけでなく、学生への対応方法についても方針・指導を徹底することが重要です。

損保ジャパンが昨年の8位からトップへ

 次に、「面接官の印象の良かった会社」についてもトップ10の企業の顔ぶれを見てみましょう。まずは文系のランキングです[図表4]。1位は昨年8位の「損害保険ジャパン日本興亜」、2位は昨年トップの「みずほフィナンシャルグループ」、3位には昨年トップ10圏外だった「三菱東京UFJ銀行」と、金融系企業がトップ3を独占しました。昨年2位だった「東京海上日動火災保険」は、今年も7位にランクインしています。上位企業の理由コメントを見てみましょう。

[図表4]面接官の印象の良かった会社(文系)

順位 企業名 票数
1 損害保険ジャパン日本興亜 28
2 みずほフィナンシャルグループ 25
3 三菱東京UFJ銀行 23
4 JTBグループ 21
5 アクセンチュア 18
6 日本航空(JAL) 17
7 東京海上日動火災保険 16
7 全日本空輸(ANA) 16
7 りそなグループ 16
10 日本郵政グループ 15

[1位]損害保険ジャパン日本興亜

・最後まで話を聞いてくれ引き出してくれた。緊張を解いてくれた(中堅私立大)

・圧迫面接がなく、私の話に合わせて質問してくれたから。物腰が柔らかく、同じ目線で話を聞いてくださったのでいろいろなことを話しやすかった(早慶クラス)

・穏やかで、話を引き出してくれた(早慶クラス)

・私の話をきちんと理解しようとし、分からないところは分かるまで聞いて、分かるときちんと分かったと伝えてくれたところ(上位私立大)

・話を聞いてくれた。一次も二次もうなずいて興味を持ってくれ、人物をしっかり見てくれたと思う(上位私立大)

・フィードバックをしてくれた(上位国公立大)

・会話に近い面接で、こちらの話を真剣に聞いて相づちを打ったり、質問をしてくださった(上位国公立大)

・フィードバックをたくさんくださり、その後の面接にも活かせた(旧帝大クラス)

・雑談っぽい雰囲気で和やかだったから(その他国公立大)

・和やかな雰囲気で、普通の会話のような形で面接を進めてくれた(その他国公立大)

[2位]みずほフィナンシャルグループ

・常に笑顔でしっかりと話を聞いてくれた(中堅私立大)

・話をちゃんと聞いてくれて、私の出身地の話で盛り上がって楽しかった。でもその面接で落ちました(中堅私立大)

・親身になって話を聞いてくれ、自身の経験も教えてくれた(早慶クラス)

・面接が完全に会話であったところ。一問一答形式ではなく、温かみを感じた(早慶クラス)

・面接官がブースに入るときに椅子を引いてくれた(早慶クラス)

・しっかりと聞いてもらえ、自分がしゃべりやすいようにしてくれた(上位私立大)

・波長が合った。話を聞いてくれる姿勢で面接が行われ、多少言葉足らずで不鮮明な話をしても深掘りしご自身の言葉でまとめてくれた(上位私立大)

・一次から最終まで1対1で、私自身を見ていてくれた気がしました(その他私立大)

・話を丁寧に聞いてくださったから。ニコニコしながら聞いてくださったから。私の意見に対する、ご自身の意見も伝えてくださった(その他私立大)

[3位]三菱東京UFJ銀行

・和やかな面接にしてくれた。笑ってくれた(中堅私立大)

・圧迫面接がなかった。話をちゃんと聞いてくれた(早慶クラス)

・しっかりとしたフィードバックがあった(早慶クラス)

・会話形式できちんと話を聞いてくれた(上位私立大)

・人となりを一番見てくれた(上位私立大)

・前評判で圧迫と聞いていたが、一番雑談を通して人柄をつかもうとしてくれており、メガバンクの中で一番人柄が良いと感じたから。また若手を一次選考に持ってくるのではなく、初めから40代あたりの行員が面接官だったので、正当に評価してもらえたと感じた(上位私立大)

・圧迫面接をしようとしているが、社員の人の良さがにじみ出ていて、頑張って圧迫風にしようとしているように感じられ、その様子がかわいかった(旧帝大クラス)

・理知的で気さくな人だった(旧帝大クラス)

[4位]JTBグループ

・グループディスカッションに関して、終了後にアドバイスをくれた(中堅私立大)

・ちゃんと人を見てくれ、面接前も緊張しないようにしてくれていた(早慶クラス)

・いやらしい質問が一切なく、本当に私の価値観や経験を聞きたいと思ってくれている印象を受けた(早慶クラス)

・うなずきながら真剣にメモをとって聞いてくれた(早慶クラス)

・学生の良さを引き出そうとする姿勢が見受けられ、とても良い時間を過ごすことができた(上位私立大)

・詳しく話を聞いてくれ、私のことをしっかり見てくれていることを感じたから。仕事内容に関するアドバイスもいただけて本当に丁寧な対応だと感じた(その他国公立大)

[5位]アクセンチュア

・一方通行ではなく双方向の会話で選考が行われたため、自分の話したいことも聞きたいことも伝えることできた(早慶クラス)

・私の話に大笑いしてくれた(早慶クラス)

・私の話だけでなく、社員さんの話もたくさんしてくださった。面接というより会話だった(旧帝大クラス)

・和やかな雰囲気作りをしてくれた一方で、面白い質問があったため。面接官がスマートで好感を持てた(旧帝大クラス)

[7位]りそなグループ

・話を真剣に聞いてくれて、フィードバックもしてくれた(中堅私立大)

・自分のことをよく知ろうとしてくれる姿勢が見られた(早慶クラス)

・アットホームな雰囲気で和ませてくれた(上位私立大)

・待合室から見送りまで学生を気に掛けてくれる。最初から最後まで個別で、しっかり個人を見てくれる(旧帝大クラス)

・とにかく優しく、挨拶から歓迎してくださっている気持ちが伝わった(その他私立大)

研究内容を理解しているかが鍵

 最後に、理系学生が選んだ「面接官の印象の良かった会社」トップ10を見てみましょう[図表5]。1位は昨年の圏外から「野村総合研究所(NRI)」、2位には同じく圏外から「日立製作所」、昨年3位の「パナソニック」と「アクセンチュア」の3社が並びました。昨年1位だった「ソニー」と「三菱電機」はともにトップ10入りはなりませんでした。上位企業の理由を見ていきましょう。

[図表5]面接官の印象の良かった会社(理系)

順位 企業名 票数
1 野村総合研究所(NRI) 11
2 日立製作所 10
2 パナソニック 10
2 アクセンチュア 10
5 味の素 7
5 デンソー 7
5 カゴメ 7
5 NTTデータ 7
9 アサヒ飲料 6
10 明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ) 5
10 日本電気 5
10 花王 5
10 ライオン 5
10 キヤノン 5
10 SCSK 5

[1位]野村総合研究所(NRI)

・私の話した内容に対する質問がうわべのものではなく、本質を突いた質問であると感じた(早慶クラス)

・雰囲気が自分と合う人だと感じられた(上位私立大)

・1対1で話を深掘りして聞いてくださった(上位国公立大)

・今後の学生生活でのアドバイスを受けることができた(上位国公立大)

・時間を延長してでもたくさん聞いていただいた(旧帝大クラス)

[2位]日立製作所

・話したことに対して、同調してくれた(上位私立大)

・事前にリクルーターとの面接練習をした上で臨んだので、すでに身内の意識がある面談だったと思った(上位国公立大)

・面接官の方がとても優しかった。こちらの緊張をほぐしてくれた(上位国公立大)

・学生の良いところを探そうとしてくれているのを感じたから。また、面接後に今後活かせそうな助言をいただくことができた(旧帝大クラス)

・こちらの緊張をほぐしながら行ってくれるので、普段どおりの自分が表現しやすかった(その他私立大)

・志望部署と、自分の大学での研究内容に関連がなくても、真摯に話を聞いてくれた。対応が丁寧でしっかりと「人」を見ようとしてくれていた(その他国公立大)

[2位]パナソニック

・研究についての理解度が良かった(上位国公立大)

・話をよく聞いてくれて、話しやすい雰囲気を作ってくれた(上位国公立大)

・自分の研究内容をしっかり理解しようとしてくださっていた(旧帝大クラス)

・不測の事態の対応が素晴らしい(旧帝大クラス)

[2位]アクセンチュア

・自由に仕事を楽しんでいる印象(早慶クラス)

・本当にやりたいことが何なのかを聞いてくださり、その環境があるかどうか真剣に考えてくださった(上位私立大)

・圧迫はなく、終始にこやかに話すことができた(旧帝大クラス)

[5位]NTTデータ

・終始こちらの意図を正しく理解しようとしてくれた(早慶クラス)

・学生の素を引き出すのが非常にうまいと感じられた(上位私立大)

・考えさせられる内容だったため、本当の実力を測られた気がした(上位私立大)

・質問の質が明らかに高い(上位私立大)

・フィードバックが丁寧(旧帝大クラス)

[9位]アサヒ飲料

・良いところを引き出しつつ、深堀りしていくタイプだった。お互いに気持ちよく面接ができたと思う(上位国公立大)

・真摯に聞いてくれた(旧帝大クラス)

・あらかじめ用意してある質問だけでなく、その場で疑問に思ったことを聞いてくれた(旧帝大クラス)

 印象の良い面接官には、「面接ではなく会話」「緊張緩和」「深堀質問」「フィードバック」「傾聴」といったキーワードが挙げられます。さらに理系には、当たり前ですが「研究内容の理解」が求められます。「印象が良くなかった理由」も併せて見ておきます。

・圧迫面接、高圧気味

・面接の準備をしてなかったのか、次の質問まで少し沈黙があった

・ひたすら責めることしかしない面接官だった

・頭ごなしにこちらのことを否定してきた

・イライラしているように見える

・無表情で少し圧迫感を感じた。面接中ずっと緊張しっぱなしで言いたいことが言えなかった。その分後悔も大きかった

・上から目線。学生の話を聞いていない。

・時間短すぎ

・質問の意図がまったく分からなかった

・集団面接で、学生によってあからさまに質問数を変えていた

・最終面接で面接官が偉そうに足を組んで観察していた

・通り一遍の質問ばかりで、業務的にこなしている感が否めなかった

・面接官自身の話ばかりでこちらに全然質問してこない

・目を見てくれず、下ばかり見ていた

・面接官が遅れて来たり、さっさと終わらせて行きたがりました

・自分に興味がなさそうなのがすぐに分かった

・プライバシーに関わるところまで聞かれて不快だった

・話を掘り下げようとしない

 面接官の態度に関するものが多い一方、面接時間の短さを挙げる学生も少なくありません。学生7人の集団面接で、1組当たり15分では学生が不審がるものも無理はないでしょう。ただ、こちらは面接官個人の問題ではなく、会社としての面接の設計の問題になります。今一度、面接のやり方自体の見直しもしてみてはいかがでしょうか。
 入社志望度に与える影響度では、「リクルーター・社員」以上に「面接官」の影響が高くなっています[図表6]。「非常に影響した」「影響した」の回答を合計すると、文系では実に93%、理系でも87%と、「リクルーター・社員」よりも10ポイント以上も高くなっているのです。

[図表6]面接官の志望への影響

 短期間に大量の応募者の選考を求められる新卒採用においては、面接官は人事部門だけでなく、他部門の若手社員や管理職にも協力を仰ぐ企業が多いことでしょう。求める人物像を共有するとともに、面接の上手な進め方、面接でやってはいけないことを徹底する必要があります。また、面接は企業が自社にふさわしい人材を見極める場であるだけでなく、学生からも企業選別の場になっていることをあらためて認識してもらうことも忘れてはなりません。

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
http://www.hrpro.co.jp/