人材派遣大手5社が企業から受け取る「派遣料金」を巡りカルテルを結んだ疑いがあるとして、公正取引委員会は2日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで5社の本社などを立ち入り検査した。関係者への取材で分かった。大企業を中心に賃上げが続いており、こうした流れに便乗して利益確保を図った可能性がある。料金が不当に引き上げられれば、利用企業のコスト増加や物価上昇を招く恐れがあり、公取委は実態を調べる。
また、料金引き上げ分で自社のマージンを増やし、派遣社員の賃金に十分反映しなかった可能性もあるとみているもようだ。公取委が同法違反の疑いで派遣会社に立ち入り検査するのは初めて。
関係者によると、5社はパーソルテンプスタッフ、スタッフサービス、リクルートスタッフィング、アデコ、マンパワーグループ(いずれも東京)。いずれも立ち入りを受けた事実を認め「公取委の調査に全面的に協力する」としている。
5社は遅くとも2022年以降、幹部らが派遣料金の引き上げについて協議、合意していた疑いがある。協議は全国レベルのほか、地域や個別企業ごとに進めるケースがあったとみられる。
派遣会社は企業が支払う料金からマージンを差し引き、派遣社員に賃金として支給する。厚生労働省によると、マージンには営業利益のほか、派遣会社が負担する社会保険料などが含まれる。
厚労省によると、24年度の派遣料金は8時間換算で平均2万6257円。19年度の2万3629円から1割以上増えた。一方、マージンが占める比率も24年度が36・3%で、19年度の35・5%から上昇している。
総務省の労働力調査によると、25年の派遣社員の数は156万人。
1986年に施行された労働者派遣法では、専門知識が必要な13業務に対象が限定されたが、その後、規制緩和が相次ぎ、安価な労働力として拡大してきた。一方、08年のリーマン・ショック後、派遣先企業の都合で雇い止めされる「派遣切り」が社会問題となった。
(共同通信社)
2026年06月02日 共同通信社