政府は28日、過労死・過労自殺の現状や国の防止対策をまとめた2025年版「過労死等防止対策白書」を閣議決定した。精神障害による労災保険給付の請求件数が10~24年度で3倍以上に増加。特に医療現場では精神障害の労災認定件数が大きく増えるなど深刻な現状が浮かんだ。高市早苗首相は「労働時間規制の緩和検討」を指示しており、労働現場の過酷な実態にどのような姿勢で向き合うのかが問われる。
上野賢一郎厚生労働相は閣議後記者会見で「過労死防止対策に全力を挙げて取り組む」と話した。労働時間規制については「さまざまな意見がある。働き方の実態やニーズを把握した結果を精査しつつ、検討を深めていく」とした。
白書によると、精神障害による労災請求件数は10年度の1181件から24年度は3780件に増加。認定件数も24年度は10年度の3倍以上となる1055件で、初めて千件を上回った。
労災認定件数を業種別で3年ごとに平均すると、医師や看護師が対象の「医療」は11~13年度に14・7件だったのが20~22年度では46・7件と約3倍に増加した。20~22年度は医療に続き「建設業」(44・3件)、「自動車運転従事者」(39・0件)が多かった。
請求に対する決定件数(不支給を含む)を原因別で見ると、22年度に749件だった「対人関係」が、24年度は倍以上の1519件になった。「パワハラ」「セクハラ」も増加。職場環境に関する原因が目立った。
白書では、外食産業の労働者に実施したアンケートの結果も掲載。顧客による暴力や嫌がらせなどのカスタマーハラスメント(カスハラ)を経験した人は18・8%に上り、種類別では頻繁なクレームや同じ質問を繰り返すといった「継続的な執拗な言動」を経験した人が53・8%と最多だった。
高市首相は上野厚労相に「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和検討」を指示している。
(共同通信社)
2025年10月28日 共同通信社