2025年09月05日  共同通信社

最低賃金平均1121円 引き上げ額過去最大66円 首相「中小企業を支援」

 厚生労働省が5日公表した最低賃金(時給)の47都道府県の2025年度改定額によると、全国平均は現在の1055円から66円増えて過去最高の1121円となった。引き上げ額は過去最大。全都道府県で初めて時給が千円を超える。トップは東京の1226円で、沖縄など3県の1023円が最も低い。例年10月から順次適用する自治体が多い中、人件費増に対応する経営側への配慮もあり、福島など6県は来年1月や3月にする。石破茂首相は中小企業の支援を表明した。

 人材流出の懸念や物価高、政府による引き上げ要請を背景に、39道府県が国の示した目安に上乗せした。最低賃金の大幅アップは働く人の生活改善につながる一方、体力の弱い中小企業の経営を圧迫する。首相は「引き上げに対応する中小企業や小規模事業者を強力に後押しする」と官邸で記者団に述べ、助成金の対象拡大や補助金の要件緩和を行う考えを示した。

 最低賃金が最も低い1023円は、他に高知と宮崎。トップの東京と203円の開きがある。

 今回の改定額を10月中に適用するのは20都道府県にとどまる。準備期間を設けるため11月以降としたのが27府県に上る。うち適用が来年1月となるのは福島、徳島、熊本、大分の4県で、3月は秋田と群馬。先延ばしになると賃上げの恩恵が遅れるとの指摘もある。

 政府は、20年代に全国平均1500円とする目標を掲げる。25~29年度改定で毎回7・3%のアップが必要な計算。25年度の引き上げ率は6・3%で、政府目標の達成には26年度以降、一層の引き上げが必要となる。

 最低賃金の改定額は、厚労省の中央審議会が示す目安を参考に都道府県の地方審議会が決める。中央審議会は8月、全国平均で過去最高の63円との目安を示した。経済情勢を踏まえて都市部を含むA、B区分を63円、最低賃金の低い地方部中心のC区分を64円とした。

 厚労省は地方審議会の結果を受け、各地の労働者数を考慮して算出した「全国加重平均」を平均値として発表している。

(共同通信社)