47都道府県の最低賃金(時給)の2025年度改定額が4日、出そろった。共同通信の集計によると、8割に当たる39道府県が国の示した引き上げ額の目安を超えた。上乗せ額の最大は熊本の18円。大分が17円、秋田が16円で続いた。時給は、最高が東京の1226円で、最も低いのは高知、宮崎、沖縄の1023円。全都道府県で初めて千円を突破する。
目安を超える自治体は前年度の27県から大幅に増えた。人口流出や物価高が続く中、隣県や都市部との人材獲得競争が要因とみられる。最低賃金の引き上げは中小企業の経営には重荷になり、政府の支援策が焦点となる。
目安への大幅な上乗せは最低賃金が低い東北や九州などで目立った。39道府県は他に岩手、福島、群馬の3県が15円、愛媛と長崎の2県が14円、山形が13円、青森が12円、佐賀が10円。次いで鳥取と鹿児島が9円、島根が8円、石川など4県が7円、茨城と福井が6円。徳島や新潟など19道府県が3~1円だった。
残る東京、神奈川、愛知、大阪など8都府県は目安通りの金額とし、上乗せしなかった。
国の目安と上乗せ分を合わせた引き上げ額は、最高が熊本の82円、次いで大分の81円、秋田の80円。
最低賃金の最高額1226円と最低額1023円の差は203円で前年度より9円縮まった。
改定額は10月以降、順次適用する。25年度は、経営者側に配慮して準備期間を設けるため越年するケースもある。
最低賃金は、厚生労働省の中央最低賃金審議会が目安を示し、都道府県労働局の地方審議会が実際の金額を決める仕組み。中央審議会が先月4日、全国加重平均で過去最高の63円という目安を示した。経済情勢ごとに都道府県を三つに分け、都市部を含むA、B区分の34都道府県を63円、最低賃金の低い地方部中心のC区分の13県を64円とした。これを受け地方審議会が協議してきた。
この日は、議論が続いていた熊本、大分で決着した。福島は5日の審議会で正式決定する見通し。厚労省が5日にも全国加重平均を公表する。
(共同通信社)
2025年09月04日 共同通信社