北海道函館市の特別養護老人ホーム「恵楽園」で、懲戒解雇されたのは違法・無効だとして勤務していた女性が運営法人に地位確認を求めた訴訟の判決で、函館地裁は8日、解雇を無効と認めた。
判決理由で五十嵐浩介裁判長は、利用者らに対する原告女性のハラスメント行為が解雇理由だとする法人側の主張に対し、一部を認めた上で「解雇が社会通念上相当とはいえない」と指摘した。
原告側は、入所者への虐待が発生していると市に通報したことへの報復目的だと主張したが「解雇に至る経過と時間的に近接していることをもって、通報が理由だと認めるには不十分だ」として退けた。
判決によると、女性は2018年に労働契約を締結。施設では不適切な身体拘束が行われており、23年10月、函館市に通報した直後、運営法人から自宅待機を命じられ、同年12月に解雇された。
原告女性は判決後の記者会見で「裁判所が事実を認めてくれて感謝している」と話した。一方、施設を運営する社会福祉法人「恵山恵愛会」(同市)の菅龍彦理事長は、取材に「われわれの主張が認められなかったことは大変不本意だ」と述べた。
恵楽園を巡り、市は今年5月、入所者にシーツなどを巻き付けて身体拘束をするなどしたとして新規利用者受け入れを6カ月間停止する行政処分を出した。
(共同通信社)
2025年08月08日 共同通信社