最低賃金(時給)の2025年度改定額の目安は4日、全国平均で6・0%(63円)アップで決着した。時給の平均は現在の1055円から1118円となる。現行方式となった02年度以降、上げ幅、額ともに過去最高。目安通りに改定すれば初めて全都道府県で時給千円を超える。厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会が7回目の小委員会で取りまとめた。
政府は最低賃金の全国平均を「20年代に1500円」とする目標を掲げている。達成には25~29年度改定で毎回7・3%のアップが必要な計算だった。6・0%にとどまったことに関し、石破茂首相は官邸で記者団に「さらに努力する。今後の政策効果が表れれば達成可能だ」と述べた。
目安は経済情勢などで都道府県を三つに分けた区分のうち、地方部を中心とした13県のC区分だけ64円とした。都市部を含む計34都道府県のA、B区分は63円。CがAを上回るのは初めてで、地域間格差の縮小が狙い。3区分の全国加重平均が6・0%、63円となる。
最低賃金は、都道府県単位の地方審議会が目安を参考に、地元の改定額を議論する仕組み。例年だと8月上旬から順次、決まり、秋から適用されている。労働者側が大幅な引き上げを求める一方、経営者側は中小企業の人件費増を懸念して小幅に抑えようとする構図で、各地で激しい応酬がありそうだ。首相は記者団に、目安を上回った地域に財政支援すると改めて表明した。
前回24年度改定は、中央審議会の目安が5・0%(50円)のアップ。地方審議会では目安を上回る改定が相次ぎ、上げ幅は平均5・1%(51円)となった。現在の時給トップは東京都の1163円。最も低い秋田県でも951円のため、目安通りの引き上げで全都道府県が千円を超える。
小委員会メンバーは労働者と経営者の代表、調整役を担う公益委員の3者。上げ幅を巡る調整が難航し、44年ぶりに7回目までもつれた。中央審議会は4日夜、福岡資麿厚労相に目安を答申した。
(共同通信社)
2025年08月04日 共同通信社