2025年07月06日  共同通信社

最低賃金改定、11日から 1500円へ上げ幅焦点

 最低賃金(時給)の2025年度改定を巡る議論が11日から、厚生労働相の諮問機関・中央最低賃金審議会で始まる。石破茂首相が「20年代に全国平均1500円」との目標を掲げてからは初。現在は1055円のため、実現には25~29年度の5回にわたる改定で、7%程度ずつ上げる必要がある。初回の水準がどうなるのか、8月上旬までには決まる見通しだ。
 最低賃金は、パートやアルバイトを含む労働者に企業が支払う賃金の下限額。下回った企業には罰金が科される。経営者、労働者の各団体の代表と有識者の3者で構成する中央審議会が改定の目安を定め、これを参考に各都道府県の地方審議会が地元の金額を決める。
 前回24年度改定は、中央審議会が5・0%(50円)引き上げるとの目安を示したのに対し、これを上回る地方審議会が相次いだ。賃上げしなければ人材が流出するとの危機感などが背景にあり、全国平均は過去最大となる5・1%プラスの1055円となった。
 政府は賃上げを重要課題に位置付けている。今年6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」では、中央審議会の目安を超えて引き上げた都道府県に、補助金や交付金を配ると決めた。具体的な金額など詳細は今後詰める。
 経営側は過度に引き上げれば中小企業の経営を圧迫すると警戒する。「最低賃金のアップでは地域経済は豊かにならない」と話す関係者もいる。さらに政府が前のめりなのを受け、労使双方から「審議がゆがむ」「口先介入が過ぎる」と疑問視する声が出ており、本年度も終盤まで議論がもつれそうだ。
(共同通信社)