カスハラ全企業に対策義務 労働者保護、改正法成立 女性管理職率の公表も

 顧客や取引先が理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)から労働者を保護するため、全企業に対策を義務付ける改正労働施策総合推進法などが4日、参院本会議で自民、公明、立憲民主各党などの賛成多数により可決、成立した。従業員101人以上の企業には管理職に占める女性比率などの公表も義務化し、男女格差是正につなげる。
 カスハラ関連は2026年中の施行を目指す。改正法はカスハラそのものを規制するわけではない。企業に被害発生を抑止する方策や、発生した場合の被害回復策などを義務付け、労働者が安心して働けるようにする。企業だけでなく、自治体も義務化の対象とした。
 具体的な内容は、国が今後策定する指針で示す。被害発生時の対応方針をマニュアルで明確にすることや、相談体制の整備などを想定している。不十分であれば、国が是正を指導、勧告し、従わない企業は公表する。
 カスハラは「社会通念上、許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害する言動」などと定義した。加害者としては顧客や取引先、施設利用者などを挙げた。
 女性活躍関連では来年4月から、従業員101人以上の企業に、管理職に占める女性比率や男女間の賃金格差の公表を義務付ける。女性活躍推進法の期限は10年延長し、36年3月末までとした。
 企業が女性活躍を進める際の基本原則を定めた条文には、女性の健康上の特性に留意すると明記した。更年期や生理で体調の悪い従業員への支援を促す狙いがある。
 このほか就職活動中の学生に対するセクハラの防止策を義務化し、社員と学生が面談する際のルールを事前に定めておくことなどを求める。
(共同通信社)