公益通報、解雇懲戒に罰則 告発者保護で改正法成立へ 個人に拘禁刑、法人も対象

 告発者の保護を強化する改正公益通報者保護法が4日の参院本会議で可決、成立する。内部通報者に報復として解雇や懲戒処分を行った場合、事業者側に対する刑事罰を導入したのが柱で、報復を抑止し、通報への適切な対応を進めることが狙い。不当な配置転換を罰則対象に含めるよう求める意見もあったが見送られた。2027年までに施行され、施行後3年をめどに制度を見直す。
 改正法では、報復目的の解雇・懲戒処分に関与した関係者に6月以下の拘禁刑か罰金30万円、また法人に3千万円以下の罰金を科す。対象は「通報を理由とした」行為に限定。処分した側とされた側で争いになることも予想され、捜査機関の判断が重要となる。
 民事で争いになる場合は、通報者側の負担を軽減する。公益通報後1年以内に解雇や懲戒を受けた場合は通報への報復を受けたと推定する。処分した側が「通報が理由ではない」と主張する場合はその立証責任を負う。
 内部通報の受け付け体制も強化する。事業者が窓口の担当者を配置せず、行政の命令に従わない場合に30万円以下の罰金を科す。また、公益通報者を探索する行為の禁止を盛り込んだ。保護対象を契約終了後1年以内のフリーランスにも広げる。
 公益通報を巡っては、兵庫県や鹿児島県警などで通報者保護を巡る問題が起き、昨年、消費者庁が設置した有識者検討会がこれらの問題も念頭に改正案を議論した。
 参院消費者問題特別委員会では、違法な配置転換の罰則化や、通報のために資料を持ち出す行為を認めるよう、政府に検討を求める付帯決議を採択した。
(共同通信社)