経団連が22日発表した2025年春闘の第1回集計によると、定期昇給やベースアップ(ベア)を含む大手企業の月給の賃上げ率は平均5・38%となった。比較可能な1992年以降で最高だった24年(5・58%)に次ぐ過去2番目の高水準で、2年連続の5%超えを達成。物価高が続く中、人材の確保や定着につなげるために多くの企業が積極的な賃上げに動いた。
引き上げ額は1万9342円。1万9480円だった前年の第1回とほぼ同じ高水準で、現時点で集計可能な17業種のうち11業種で前年を上回った。経団連の担当者は「賃金引き上げの力強い勢いが今年も着実に継続している」との見方を示した。
非製造業の賃上げ率は5・48%と全体平均より高く、製造業は5・34%だった。業種別では、「情報通信」の賃上げ率が7・97%と最も高かった。デジタル対応を推進するため、優秀な人材を確保する狙いがあるとみられる。「非鉄・金属」が6・21%で、「機械金属」が6・08%で続いた。
大幅な賃上げとなったものの、トランプ米政権の高関税政策の影響で、自動車など輸出産業の事業環境には不透明感が増している。世界景気の減速懸念も出ており、この流れが来年以降も継続するかどうかが注目される。
調査は主要22業種244社が対象。労働組合の組合員や従業員1人当たりの平均額が判明した17業種97社の結果をまとめた。最終集計は7月下旬ごろに発表する見通しだ。
(共同通信社)