デジタル給与利用2・8% 解禁2年、バイト対応遅れ

 給与をデジタルマネーで支払う「デジタル給与」は2023年4月の解禁から2年。サービスを企業に提供する決済会社は、今年4月に指定を受けたKDDIなど4社になった。ただ民間調査会社によると、直近の利用率は2・8%にとどまっている。導入企業の対象が主に正社員で、アルバイトへの対応が遅れていることが一因とみられ、普及に向けた課題だ。
 牛丼チェーン「吉野家」では4月から希望者を対象に、スマートフォン決済アプリのPayPay(ペイペイ)への給与支給を始めた。希望した20代の女性アルバイトは「普段からペイペイを使うのでチャージの手間が省ける」と話す。吉野家ホールディングスでアルバイト採用を担当する依田庄平課長は「働く人の選択肢を増やしている姿勢を見せたい」とアピール。だが、こうした事例はまだ限定的だ。
 デジタル給与は、企業がペイペイなどの「資金移動業者」のアプリに送金する制度で、厚生労働省に指定されたアプリなどが対象。従業員は銀行口座からアプリにお金を移す作業がいらなくなる。短期の仕事で給与をすぐに受け取りたい人にも対応でき、アルバイトとの相性は良さそうだ。
 調査会社のMMD研究所が3月に発表した調査では、18~69歳の男女2万人のうちデジタル給与を利用したことがない人は95%に上る。関係者は「現在の導入先は正社員を対象としているところがほとんどだ」とミスマッチを指摘する。
 ペイペイが厚労省の指定を受けたのは24年8月。今年4月には導入した企業が100社を超えた。他社も含めて利用拡大には、企業と働き手にとってのメリットの拡充が必要となりそうだ。
(共同通信社)