新卒採用「増やす」26% 人手不足で早期囲い込み 過半数が初任給連続増額 26年度、主要117社

 共同通信社は12日、主要企業117社に実施した2026年度入社の新卒採用に関するアンケートをまとめた。前年度実績より「増やす」との回答は26%(31社)、「前年度並み」が46%(54社)で、採用意欲の底堅さを示した。人手不足感は強く、学生を早期に囲い込む動きが目立つ。物価高を背景に、初任給を2年以上連続で増額する企業は過半数に達した。トランプ米政権の高関税政策が世界経済を揺るがす中、企業が人材確保による経営体制維持に努める姿が明らかになった。
 アンケートは3月中旬から4月上旬に回答を得た。4月に入ってトランプ米大統領は日本の産業界の想定を超える関税引き上げを掲げ、米国と中国の貿易摩擦が激しくなっている。仮に景気後退に陥れば、企業が今後の採用計画縮小を余儀なくされる恐れもある。
 採用を増やす理由(複数回答)は「自社の事業拡大」が55%(17社)で最も多かった。「デジタル人材の拡充」は26%(8社)に上った。
 採用を「減らす」と答えたのは12%(14社)にとどまった。1年前の前回調査と比べて「増やす」と答えた企業の割合は11ポイント低下し、「前年度並み」が6ポイント伸びた。
 一部社員に適用するケースを含め、25年度に初任給を引き上げる場合、何年連続で実施しているかを尋ねた。3年連続が23%(27社)で最も多く、4年連続が18%(21社)で続いた。2年や5年などを含め、計57%(67社)が複数年連続引き上げの選択肢を選んだ。
 連続増額ではない企業を含めて、初任給引き上げの理由(複数回答)で最多だったのが「優秀な人材の獲得・つなぎ留め」(68%、79社)。「物価上昇への対応」が続いた。労働市場の流動化が進んで転職が盛んになる中、人材流出を危ぶむ様子が見える。
 基本給を底上げするベースアップ(ベア)は計56%(65社)の企業が複数年連続で実施していると答えた。
 3分の2の企業がインターンシップ(就業体験)で得た学生の情報を採用活動で生かす。7割を超える企業が退職した元社員を「即戦力」として再び採用する仕組みを取り入れていた。
 認識のずれによる離職を防ぐため入社時の配属先をあらかじめ決めたり、専門性を持つ場合にはより高い給料で迎えたりする動きが出ている。
 26年度入社は、26年4月~27年3月の就職と定義した。
(共同通信社)