職場の熱中症対策、義務化 罰則付き、6月施行

 厚生労働省の労働政策審議会の分科会は12日、熱中症対策を罰則付きで事業者に義務付ける省令案要綱を了承した。同省は4月上旬にも労働安全衛生規則を改正し、6月から施行する。同省によると、職場での熱中症の死者は2022年、23年にいずれも30人以上と深刻化しており、地球温暖化の傾向を踏まえ、対策が急務と判断した。
 厚労省によると「暑さ指数28以上または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超える」作業を要する際に、対策が義務付けられる。事業者が対策を怠った場合、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がある。
 義務化の内容は(1)熱中症の自覚症状や疑いのある人がいた場合、報告するための連絡先や担当者を事業所ごとに定める(2)作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の処置や診察など症状の悪化防止に必要な内容や手順を事業所ごとに定める(3)対策の内容を労働者に周知する-が柱だ。
 厚労省が20~23年の死亡事例103件を分析した結果、複数の理由のあるものも含め、発見の遅れが78件、異常時の対応の不備が41件あった。同省の担当者は「ほとんどが初期症状の放置・対応の遅れが原因だ。現場において症状のある人を早期発見し、重症化させない対策が重要と判断した」としている。
 また厚労省はこの日の分科会で、職場における熱中症の予防策を議論する有識者検討会を立ち上げると明らかにした。
(共同通信社)