フリーランス保護対象に 安衛法改正案、閣議決定

 政府は14日、労働安全衛生法の改正案を閣議決定した。同法の保護対象として、個人事業主(フリーランス)を位置付ける。また、心理的負荷を調べる「ストレスチェック」の全事業所への義務化拡大や、働く高齢者の労災防止に向けた作業環境改善の努力義務化も柱だ。
 福岡資麿厚生労働相は閣議後記者会見で「多様な人材が安全に働き続けられる職場環境を整備するため、今国会で速やかに審議いただくようお願いしたい」と述べた。
 厚労省によると、これまでは原則、雇用された労働者が保護対象だったが、改正により労働者を使用せず、事業を行っている人を含める。主に「一人親方」のように、同じ現場で働いていても同法対象外だった人を想定。危険な業務に就く場合、個人事業主にも特別な安全衛生教育を受けるよう義務付ける。
 ストレスチェックは現在、従業員50人以上の事業所に年1回義務付けている。改正により、現在は努力義務となっている従業員50人未満の事業所も義務化。精神障害の労災認定件数が2023年度に過去最多の883件となったことを受け、事業所の規模を問わない対策が必要と判断した。
 さらに、高齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善といった必要な措置を、事業者に努力義務として課す。働くシニアが増加し、労災による休業4日以上の死傷者に占める60歳以上の割合が3割近くに達したことを踏まえた措置だ。今後、厚労省は新たなガイドラインを公表する。
(共同通信社)