政府は11日、代金の支払い遅れや不当な減額要求といった「下請けいじめ」を防ぐ下請法の改正案を閣議決定した。発注側の大企業が受注側の中小企業と協議せずに取引価格を決めることを禁じるのが柱。交渉の義務化により中小企業がコストや人件費の上昇を価格に転嫁しやすくし、賃金を持続的に引き上げられる環境を整えるのが狙い。
現在は法の適用外となっている荷主とトラックなどの運送事業者の取引も対象に加える。荷主が運賃を著しく低い水準に抑える「買いたたき」を防ぎ、運送事業者の利益確保を促す。インターネット通販の拡大もあって直面する物流業界の人手不足の解消にもつなげたい考えだ。
主従関係をイメージさせる「下請け事業者」という用語を「中小受託事業者」、発注側の親事業者を「委託事業者」にそれぞれ変更する。法律名からも「下請け」を削除し「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」となる。
法の適用対象の基準に従業員数を追加する。資本金の額に応じて決まる適用を逃れようと、大企業が減資をしたり、中小企業に増資させたりするケースがあるためだ。
製造業などは従業員300人超の企業が、300人以下の企業に発注する場合を対象にする。サービス業は100人超と100人以下。
(共同通信社)